笠が岳(2897m)
登山日 1999年8月11日
登山経路 三俣山荘キャンプ場〜双六小屋〜弓折岳〜秩父平〜抜戸岳〜笠が岳山荘〜笠
が岳〜笠が岳山荘〜笠新道分岐〜杓子平〜笠新道登山口〜新穂高温泉
天候 晴
8月11日曇
三俣山荘で朝食を摂りました。やはり朝飯を食べると力の入りが全然違います。
テントを撤収している間に色んな方が激励の声をかけてくれます。笠ヶ岳から昨日来た方から「8時間以上かかりますよ。頑張ってね」に勇気を出します。
今日で山中5日目、息子は少々お疲れ気味で返事にも元気がありません。
三俣蓮華岳、双六岳の登頂は諦めて巻道を双六小屋に急ぎました。
双六小屋に着く頃、ガスがかかり始め、雨がぱらぱら落ちてきました。小屋の前のテラスで休憩して雨着をつけました。雨がひどいと新穂高に下ろうかと弱気の虫も走りましたが、もうここに来ることも無いだろうと思うと笠が岳目指して強行することを息子と誓い、弓折岳に向かって縦走開始。
途中、秩父平に水場があるという小屋の方のアドバイスに水を少なくして荷を軽くしました。弓折岳はガスの中通過。秩父平までは急登あり、スパッと切れ落ちたガレバの肩の道があり、緊張とスリル満天の縦走路です。しかしお花畑も随所にあって慰めてくれます。雷鳥くんとも出会い疲れも和らぎます、秩父平で昼休みラーメンを食べて水場を探しますが水場はどこにもありません。今年は雪が少なかったので雪渓が早く消えたせいでしょうか。がっかりして抜戸岳へのカール状の岩場を上り笠が岳に通じる稜線に立ちました。
稜線はガスと強風で見通しがききません。稜線をちょっと進んだ岩場でアクシデント発生。
息子がバランスを崩し岩場に手をついたときに左手小指を裂傷しました。鮮血がほとばしり慌てて傷の手当てをしましたが、傷が深いのか簡単に血が止まりません。伴創膏とテープをぎゅっと締めて止血、半泣きの息子をなだめて「よく頑張ったな、もう少しだから頑張ろう」と連帯感を深めて、笠が岳への縦走路を急ぎました。
計画表を見ると,ここは槍穂高を左に見ながらの稜線漫歩でしたが、あいにくの強風とガスで思惑はずれは、見透視が悪いのはこの山行で初めてです。キャンプ場に着く頃にはいよいよ風強くキャンプ゚は諦めて,笠が岳山荘に泊ることとしました。
持参したお金も乏しくなり、食料の残りもあることから夕食は自炊にして朝飯付きでお願いしました。息子は早速怪我の手当てをしてもらい一安心です。
超満員の小屋も、通された部屋は新築の8人くらいの部屋で「後から来る人があれば入ってもらいます」も結局三人でゆっくり休むことが出来ました。
「親子二人連れ登山隊」の、これまでの自慢話を,同宿者がしんみりと聞いてくれました。
8月12日 晴
槍が岳の肩から出るご来光を、笠が岳山荘のテラスで仰ぎ、一登りで笠が岳山頂へ。
槍穂高はガスに隠れてしまいましたが、後方の黒部五郎岳の展望は申し分無です。
蒲田川の河原が見えますが山頂までの標高差1800M笠が岳が聳えているということを実感できました。
小屋に戻り随分と軽くなったザックを担いで杓子平に下り、6日前に登ったブナ立て尾根をしのぐ急坂の笠新道には、今日から天気が崩れるという予報の中、盆休みを利用した登山者がひきもきらずに登っていきました。
途中から水切れでダウン寸前となり,息子のことも忘れて笠新道登山口に走り下り、水場で馬のように喉を鳴らして水を飲みました。
下りついたところには昨日山荘で一緒にウイスキーを飲んだ人ばかりで,お互いの無事を語り合いながら分かれました。
小雨が降り出した蒲田川沿いの林道を一時間、新穂高に向かいましたが、親子二人とも涙が溢れ6日間の我が人生最大の大山行の感激を味わっていました。
再登山 2009年8月 双六キャンプ場〜抜戸岳〜笠ヶ岳〜クリヤ谷の記録
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