飯豊主峰(残雪期)縦走

実川山 サネカワヤマ 標 高 -

山 域

飯豊
大日岳 ダイニチダケ 標 高 2128m 花の百名山

山 域

飯豊
飯豊本山 イイデホンザン 標 高 2105m 百名山 山 域 飯豊
烏帽子岳 エボシダケ 標 高 2018m - 山 域 飯豊
梅花皮岳 カイラギダケ 標 高 - 山 域 飯豊
登 山 記 録
登山月日 2010年4月29日〜5月4日
登山経路 4月29日〜5月1日(加治川ダム〜蒜場山〜烏帽子山〜マグソ穴峰)までの記録はこちら

5/2 マグソ穴の峰幕営地7:00〜キンカ穴峰〜実川山10:30/10:45〜薬師岳12:35/12:45〜西大日岳13:00〜大日岳13:50〜御西小屋16:10

5/3 御西小屋7:30〜飯豊本山8:35/8:40〜御西小屋9:50/10:05〜烏帽子岳13:30/13:40〜梅花皮岳14:10〜梅花皮小屋14:30

5/4 梅花皮小屋6:15〜中ノ島6:50〜石転び雪渓出合7:50〜雪渓末端8:30〜飯豊山荘10:35/10:50〜国民宿舎梅花皮荘12:05

行動時間 5/2 9時間10分 5/3 7時間 5/4 5時間50分
合計 22時間(休憩時間を含む)
天  候 5/2 晴 5/3晴 5/4曇/晴
メンバー かめ・ふーさんと二人

情  報

アクセス 長者原から先の林道は通行止めも歩行は可能
トレイル 全行程殆ど雪渓歩き(一部夏道もある)
水場・トイレ 小屋のトイレも冬季施錠中
その他 天気が良ければ残雪の飯豊を満喫できる

山行記

加治川治水ダムから烏帽子山までの記録はこちら

<マグソ穴峰〜大日岳〜御西小屋>


キンカ穴峰付近から


実川山から薬師岳・薬師岳山頂に立つ


西大日岳から大雪原の頂稜を大日岳へ


大日岳の急坂を下る


下ってきた大日岳を振り返る


北股岳方面と牛首山方面


御西小屋に入り寛ぐ

キンカ穴峰のテント泊は地震もあり、あまり快適とは云えなかった。翌朝朝食をとりテントを撤収パッキングを済ませると7時近い出発になったが、きょの行程は大日岳に登りつめ、御西小屋に入る余裕の行程で少しも慌てる事は無い。
先ずはキンカ穴峰を目指す。しかし目の前に見える峰であるが、残雪の状況があまり良いとはいえない。雪の割れ目が随所に見られその都度尾根の薮の中に入る。何回か同じことを繰り返しながら高度を上げてゆく。
キンカ穴峰を超えると次の目標は実川山である。昨日まで吹き荒れた強風は1700mの実川山付近から上部であって、先行者のトレースも薄くなる。そして壁のように立ちはだかる30m程の雪壁を凌ぐとトレースは消えていた。更に軟雪となり坪足歩行が厳しくなる。リーダーの判断でワカンに履き替える。初めてワカンを履く私には要領が分からず準備不足で装着に時間をかけてしまった。ワカンをつけて僅かな時間で実川山に立った。目の前には飯豊主稜線がひらけて来た。そして大日岳へ続く薬師岳までは手に届くほどの高さまで来た事を実感する。
休憩していると薬師岳から勢い良く下ってくる者がいた。飯豊本山小屋で2日間停滞していた登山者で、私達と反対のコースを加治川ダムに下る登山者であった。しばし情報を交換する。

再び行動を開始し、緩い傾斜の雪渓を登ってゆく、途中で昼食休憩を挟んで大日岳の山頂稜線の一角薬師岳には12時半の到着となった。ここでも小休憩を取り、大雪原の西大日岳に向かう。西大日岳でも小休憩の後、夏には素晴らしいお花畑が広がっているだろうと思わせられる雪に覆われた大平原を大日岳に向かう。
大日岳は強風が吹き荒れていて、山頂標識にはエビの尻尾がしっかりと付いていた。強風の中では休憩もままならず、写真を撮った後、そのまま山頂稜線を進み大日岳の下りに掛かる。もちろん此処でワカンを外しアイゼンに履き替える。先行者のステップを頼りにゆっくりゆっくりと下ったのである。大日岳を下ると一安心御西岳に続く稜線漫歩である。稜線上で、大日岳を振り返りながら、一息入れていると実川から水晶岳に登り牛首山を経て大日岳に登ったという単独行が満面に笑みを浮かべ、追い越して行った。
飯豊主稜線と飯豊の最奥部の大展望を楽しみながら、適度に休憩を挟みながらも今夜の宿泊場所御西小屋を目指すのであった。

御西岳の大雪原を登りきり、御西小屋に入ったのは16時過ぎであった。小屋の周囲は3m近く掘り起こされていて、その中に小屋があった。入口は鉄製のはしごを上った2階部分からである。山スキーヤー5人を含め先着者が15人程いて、入り込めるスペースがあるか心配されるところであったが、入口付近にスペースを確保が出来て一安心である。全ての道具を小屋内に担ぎ上げて今日もかめ・ふーさんと二人ささやかに宴会を始める。
隣ではオンベマツ尾根を登ってきた新潟山岳会の強者4人組が大きな鍋でカモ鍋をはじめ、大宴会が始まった。あっけにとられながらも、次第に打ち解けて我らも仲間に加わり、そして越後の山談義に花が咲くのであった。この時期の飯豊には怪物が沢山入山している事を思い知らされるというものだ。5年前石転び沢を登ってたった一人、寒さに震えた夜とは違って静かな暖かい御西小屋の夜を過ごすのであった。

 

<御西小屋〜飯豊本山往復〜梅花皮小屋>


<モルゲンロートの大日岳>


御西岳から見る飯豊本山と本山頂上


飯豊本山から見る大日岳


本山小屋方面と三国岳方面


御西小屋で前で名残のスナップ


<烏帽子岳から本山の西小屋方面の眺め>


梅花皮小屋で一泊する

静かで暖かい御西小屋ではあったが山中4泊目も熟睡とは行かない。4時になるとご来光を拝みに小屋の外に出てゆく。私もつられて外に出る。その景色は5年前とは変わりの無いものであった。モルゲンロートに染まる大日岳をしっかりとカメラに収める。
小屋に戻って今日もしっかりと朝食をとる。それぞれの目標に向かって出てゆく同宿者を見送り結局最終の小屋出発となった。先ずは小屋前にザックを置いて、飯豊本山往復である。山頂の特定が難しい平坦な御西岳から大雪原を超えて飯豊本山を目指す。本山小屋方面から大日岳を目指す登山者そして山スキーヤーとも行き交う。途中一つの岩場のポイントを越えて飯豊本山には1時間ほどの行程であった。
10年前、日本百名山を目指して息子と二人、霧の中踏んだ飯豊本山山頂である。本山小屋や切合小屋・三国岳方面が懐かしい。ゆっくりしていたい空間であったが、僅かな時間で往路を戻る。ここら辺りで疲労が出始め先行のふーさんに遅れを取り始める。
急ぐ事はないとマイペースで御西小屋に戻る。御西小屋でザックを再点検し、名残の写真を撮る。

梅花皮小屋目指して飯豊主稜線を行く。
雪原を何回かアップダウンを繰り返すがそれほどの高低差が無いのは疲れた体には有りがたい。適度に休憩を挟みながら雪原を進み、夏道の現れた斜面を登りきると烏帽子岳であった。振り返ると飯豊本山方面から大日岳方面が横断的に眺められるのであった。そして大日岳は薬師岳まで長い山頂稜線が続いていることを知るのであった。再度下り、登り返すと、梅花皮岳山頂である。対面には北股岳から梶川尾根が大きく裾を延ばしている。そしてその間には下る予定の石転び沢があるのだがそれを見ることは出来ない。
夏道の梅花皮岳を下り、梅花皮小屋には14時過ぎの到着となった。小屋前には石転び沢を登って滑降の準備をするスキーヤーやスノーボーダーが5人ほどいた。小屋に入ると2階に2組8人ほどのパーテイが寛いでいた。私達も1階に場所をとり、ゆっくりとする。水場に出向いてみると黒ポリに涸れる事の無い水が流れていて一安心であった。
今日もふーさんと二人残ったお酒と食料で宴会を楽しんだのである。静かな梅花皮小屋では有ったが、夜半から強風が小屋を揺すり始め、飯豊縦走最後の夜も熟睡とは程遠い夜では有った。

 

<梅花皮小屋〜石転び雪渓〜飯豊山荘〜梅花皮山荘>


<石転び沢雪渓>


石転び出合からと雪渓末端


飯豊山荘に下りつく


林道を1時間半ほど歩いて国民宿舎飯豊梅花皮荘に


マタギの里小玉川は熊祭りで賑わっていた

窓の外が明るくなれば寝てはいられない。小屋を揺する強風で殆ど睡眠は取れなかったが疲労回復はなったというものだ。朝食をとり強風の小屋外に出る。水場で洗顔と飲料水を補給した後、しっかりと装備を点検し石転び沢雪渓に入る。上部30mほどは少々緩い傾斜であるが、その先には途中で止まることなど出来ないほどの傾斜が300mほど下の中ノ島まで続いている。
かめ・ふーさんの後ろを行くが、見る見る間に離される。しかし慌てる事は無い。慎重に慎重に下る。
上方を振り返ると後続の下山者が降って落ちてきそうである。腐れ雪で足首までズボズボと潜り、アイゼンは利かないがその分滑り落ちる恐怖感は無い。傾斜の緩む中ノ島(一部露岩が出ている)付近でふーさんが待っていてくれる。坪足では潜るのでアイゼンを装着したままワカンを付ける。そして又雪渓を下る。
左岸側には雪崩の爪痕が残り、巨岩の落石の点在していて早く下りたいものだ。落石・雪崩を気にしながらもともかく石転び沢出合まで下った。ここまで下れば危険は相当薄くなり胸をなでおろ氏ながら休憩をする。
結局昨日梅花皮小屋に泊まったパーテイは全員石転び沢を下ってきていた。

石転び沢出合から小一時間かけて雪渓末端に下る。左岸の夏道に移るが荒れ放題の道で、ヤブ漕ぎも随所にある。疲れた体には厳しい道である。何回か休憩し、大きな砂防堰堤を過ぎると車道らしき道に出るが、まだ雪道である。二つ目の砂防堰堤を下ると飯豊山荘の建物が目に飛び込んできた。林道ゲートをまたぐと除雪された舗装道路に飛び出して温身平の飯豊山荘であった。
まだ開放されていない飯豊山荘で水分を補給、頭から水を被る。

玉川沿いに林道を下ると2箇所ほどの小沢が雪崩れたままであったが、問題なく通過し、玉川に掛かる赤い吊り橋を渡ると桜満開の下、熊祭りで大賑わいの国民宿舎梅花皮荘前に飛び出した。
山中5泊のロングラン雪山縦走のフィナーレに相応しい幕引きであった。

 

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