唐松岳〜祖母谷へ

奥鐘山 オクガネヤマ 標 高 1543m 日本の山1000

山 域

北アルプス
餓鬼山 ガキヤマ 標 高 2128m -

山 域

北アルプス
登 山 記 録
登山月日 2011年9月6日〜7日
登山経路 9月6日
八方ゴンドラ駅8:15=ゴンドラ&リフト=第一ケルン8:45/8:50〜八方池9:40/9:50〜丸山ケルン11:10〜唐松岳頂上山荘12:00/12:15〜稜線13:10〜水場分岐14:20/14:45〜餓鬼山16:15〜餓鬼山避難小屋17:05
9月3日
避難小屋6:15〜餓鬼の田圃7:05/7:10〜南越の水場8:00/8:25〜1492mピーク9:25〜奥鐘山11:05/11:25〜水場13:55/14:10〜南越沢15:00〜祖母谷温泉16:05
行動時間 9月6日 8時間50分 9月7日9時間50分 合計 18時間40分 (休憩時間を含む)
天  候 9月6日 晴   9月7日 晴
メンバー 単独

情  報

アクセス 八方ゴンドラ駅までは問題なし
トレイル 唐松岳までは人気のトレイル 南越道は荒れてはいるが迷うことはない 奥鐘山は完全藪山
水場・トイレ 水場唐松岳までは無い 南越道には最低鞍部で沢水 南越沢とその少し上で取れる
トイレは小屋で 避難小屋には無い
その他 奥鐘山のヤブ漕ぎ以外は昨年と同じルートで安心して歩けた

山行記

第一日目


唐松岳の巻き道・縦走路から見る餓鬼山


今年も来た餓鬼山山頂・餓鬼山避難小屋

昨年同時期に歩いたコースを餓鬼山避難小屋まで歩き、祖母谷に下る途中の南越から藪山の奥鐘山を登る計画である。
台風12号も過ぎ去った翌朝、八方ゴンドラ駅始発には約30人が列を作った。台風で足止めを食った登山者が満を持して集まってきたのである。私は列の最後に並び、八方池の登山道には9時近くの出発となった。台風一過とはいかない天気で不帰の剣の展望はガスで遮られていた。今日中に餓鬼山越えれば良いと思えば急ぐことはないと、ゆっくりと歩き、唐松頂上山荘に歯3時間かかって正午の到着となった。
ガスで展望が利かない唐松岳登頂を諦めてベンチで軽い昼食をとる。山荘に顔を出して祖母谷への情報を確認するが「昨日の台風で風が強かったので倒木があるかもしれないから気をつけて下ってください」「祖母谷の小屋に着いたら小屋に登山道の情報提供してください」とのことだった。

山荘から唐松岳を巻き稜線に出る道は相変わらずの悪路であるが慎重に歩く。更に下って水場に着き沢に下りて3リットルの水を補給する。昨年はあごを出しかけた餓鬼山への登り返しで有ったが今年も同じようなもので、水場分岐〜は1時間30分かかって餓鬼山山頂に着いた。更に木の根からまる悪路の餓鬼山を慎重に下って、昨年と殆んど同じ時間を要して17時過ぎの餓鬼山避難小屋到着となった。
備え付けの毛布と寝袋を借用して一晩休む事が出来た。

第二日目


餓鬼山避難小屋からの剱岳・奥鐘山山頂からの剱岳


藪の中の奥鐘山山頂・奥鐘山への分岐の水場


南越の奥鐘山分岐付近・清水尾根から白馬岳方面もよく見える


祖母谷温泉で寛ぐ

翌朝の天気は最高で小屋裏の展望台からは逆光の五竜岳・鹿島槍ヶ岳が黒光りしている。剱岳は朝日を浴びて輝く出していた。
小屋からは緩く下って餓鬼の田圃には1時間も掛からなかった。更に少し傾斜をました登山道を1時間ほどで南越に着く。奥鐘山への分岐を見落とさないように探すが、なかなか特定できなくて南越の鞍部から少し下った水場にザックを預け、サブザックに飲料水と軽食を入れて付近を捜す。結局踏み跡は見つからず、奥鐘山に続く尾根に突っ込む。少し進むと赤布を見つけ間違いない尾根を確認する。デジカメを忘れた事に気付き、ザックのデポ地に戻るのはわずかに進んだところで幸運であった。
再び藪の中に入って尾根をはずさないように進む。時々赤布が下がっているが赤布頼りではない。「尾根を進むと赤布がある」ということで「人間の勘などそれほど違わないのだな」と思わせられるのである。岩場の小ピークを越えて更に藪の中高度を上げると奥鐘山前衛の1493mピークである。此処まで約1時間当初の予定通り歩けた。
1493mピークから奥鐘山への尾根は広く、薮は更に濃くなり少し下ってゆく。赤布が現れるたびに安堵しながら進むが帰りが心配だ。1時間ほど慎重に薮を掻き分け右側が大きくキレ落ちたガレバの縁に立つ。落ちたら大変なガレ場であって、此処だけは狭い尾根で踏み跡も鮮明であった。奥鐘山山頂への急坂は薮は薄くいく筋もの踏み跡らしきが見えるが、高みを目指して委細構わず登る。やがて踏み跡は一つに合わされ最高点に到達していた。
水場からは2時間半の所要時間で有った。あの大岩峰の奥鐘山も裏側から登るとその片鱗もうかがえない感動の薄い樹林の中の山頂であった。腰を下ろす場所もない山頂で、立ったまま酵母パンをかじりポカリすえっとで腹に流し込んだ。それでも20分ほど滞頂して下山に掛かる。手にしていた草刈鎌が見当たらず、辺りを探すが結局出てこなかった。
ガレバまでの急な下りは一気に下ったが、1493mピークまでの登り返しには密藪の中何回か道を失い徘徊する。そして尾根を忠実に戻って、行きと同じ時間をかけて水場には14時少し前に帰還した。達成感と言うより無事帰り着いた安堵感が立ったのである。持参した2lの飲料水は空になっていた。
滑りやすい南越沢までの道を何回か知りもちつきながら下る。南越沢で汗を拭い喉を潤して、悪路の南越沢沿いのヘツリ道を行く。このコース一番の悪路で疲れた体に辟易とするのであった。
祖母谷温泉には16時過ぎに到着し、素泊まりで宿泊申し込みすると、人当たりの良い女将が単独部屋を案内してくれた。ありがたい粋な計らいであった。早速露天風呂に浸かり汗を流し着替えをしてサッパリした体でベンチでビールと焼酎を飲みながら夕食を取った。夕食後も風呂に浸かり、祖母谷の水の音を枕に快眠できたのである。

 

祖母谷から白馬岳へ

 


唐松岳 カラマツダケ 標 高 2696m 日本三百名山

山 域

北アルプス
餓鬼山 ガキヤマ 標 高 2128m -

山 域

北アルプス
登 山 記 録
登山月日 2010年9月2日〜3日
登山経路 9月2日
八方ゴンドラ駅8:05=ゴンドラ&リフト=第一ケルン8:35/8:40〜八方池9:20/9:30〜丸山ケルン10:50/10:55〜唐松岳頂上山荘11:30〜唐松岳11:55/12:05〜山荘12:15/12:30〜稜線13:20〜水場分岐14:30/14:55〜餓鬼山16:30〜餓鬼山避難小屋17:20
9月3日
避難小屋6:45〜餓鬼の田圃7:35/7:45〜水場〜南越沢8:55/9:00〜登山道入口10:00〜祖母谷温泉10:05/11:00〜欅平11:40/12:48=トロッコ電車=宇奈月14:10=富山地鉄・JR北陸線・大糸線=白馬=タクシー=八方ゴンドラ駅19:20
行動時間 9月2日 八方ゴンドラ駅〜餓鬼山避難小屋 9時間15分
9月3日 餓鬼山避難小屋〜宇奈月       7時間25分 (休憩時間を含む)
天  候 9月2日 晴 9月3日 晴
メンバー 単独

情  報

アクセス 八方ゴンドラ駅までは問題なし
トレイル 唐松岳までは人気のトレイル 南越道は荒れてはいるが迷うことはない
水場・トイレ 水場唐松岳までは無い 南越道には最低鞍部で沢水 南越沢とその少し上で取れる
トイレは小屋で 避難小屋には無い
その他 南越道はあまり歩かれてはいないが、富山側からのクラシックルート

山行記

第一日目


八方池・第一ケルンから白馬岳方面


丸山ケルンから不帰キレット・唐松岳頂上山荘に到着

 
山荘前から唐松岳・五竜岳を見る


五竜岳方面


餓鬼山方面


祖母谷への巻き道・巻き道を下って山荘を振り返る


稜線からの餓鬼山と最低鞍部の大黒銅山跡


餓鬼山山頂


長い鉄梯子もある厳しい道を餓鬼山避難小屋に下る

9月に入り、八方ゴンドラの始発は8時である。始発に並んだ登山者観光客は20名ほどであった。
ゴンドラに続き2本のリフトを乗り継ぎ唐松岳登山道には8時半過ぎに入ることが出来た。
傾斜も緩い快適な人気のトレイルを行く。八方池・丸山ケルンなど休憩ポイントもしっかりとある。適度に休憩を挟みながら3時間弱で唐松頂上山荘に到着した。一息入れた後空身で唐松岳山頂を踏む。綺麗に晴れ渡る天気でなく立山や白馬岳方面は霧が掛かっていた。祖母谷方面の眼下にはこれから向う餓鬼山が良く見えて一安心、直ぐに山荘に戻る。
山荘のスタッフに祖母谷方面の情報を確認した後、テント場から唐松岳の山腹を巻く道を下ってゆく。山荘のテラスから見ると何も問題なく見える登山道であるが、山腹に切られた道は崩壊箇所や鎖場などもあって緊張も強いられる結構な難路である。結局50分近く時間をかけて唐松岳山頂〜餓鬼山に続く尾根に下り着く。振り返ると下ってきた道が良く見えて唐松山荘には霧が掛かり始めていた。
尾根道は広い道でとても歩きやすく餓鬼山が眼前だ。餓鬼山に延びる尾根まで下るが、登山道は更に高度を下げて行きやがて木道の設置された湿原となり沢音が聞こえると水場標識があった。ここがこの縦走路の最低鞍部である。水場(沢)までは10分も掛からないが、水の補給をした後暫し休憩する。水場分岐から僅かに登ると大黒銅山跡の広場である。水場の沢とここは絶好のテント場である。大黒銅山跡から急坂を登り50mほど高度を上げると餓鬼山に続く尾根道となるがアップダウンがあり右側がきれ落ちていて所々に鉄梯子も掛かる悪路である。餓鬼山への本格的登りに掛かるまで50分を要した。
補給した3Lの水でザックが重い。何回か登山道に腰を下ろしながら餓鬼山を喘ぎ16:30に山頂に着いた。山頂標識は地面に横倒しになっていた。ここからの下りが大変な悪路である。登山道の右側は相変わらずきれ落ちていて崩壊が激しい。崩壊から尾根を守る「キタゴヨウマツ」の大木の根元も踏み抜きに注意しながら下る。鉄梯子も随所に設置されている。山頂には「避難小屋まで1.1キロ」の看板もあった、餓鬼山避難小屋までは50分もかかって17時半近くの到着となった。ヤマケイのガイドブックでは唐松山荘〜3時間程度と思ったが5時間近く掛かってしまい疲労困憊の餓鬼山避難小屋到着である。保冷剤で冷やしたビールを飲み、お酒をお燗してゆっくりと過ごした。
避難小屋には毛布やシュラフもあり、持参したエアーマットやシュラフはそのままにして備え付けのものを利用させた貰った。


第二日目


避難小屋裏は展望台 鹿島槍・剱岳


餓鬼の田圃で一服 昨夜の寛ぎ


越中百山の難山名剣山と来年歩きたい清水尾根


南越沢の左岸をへつって唐松岳登山道入口に下りつく


祖母谷温泉で汗と疲れを落とす


こざっぱりして欅平まで下る

避難小屋の夜は風もなく静かな一夜で有ったが、やはり熟睡と言うわけには行かなかった。それでも体を横たえていれば疲労も抜けると言うものである。明るくなるのを待って外に出ると小屋裏は絶好の展望台となっていて黒部の谷や後立山連峰・剱岳の展望が開けていた。
昨夜も少しお酒が過ぎてあまり食欲がわかないがラーメンの朝食をとった。パッキング小屋の片付を済ませ小屋立ちは6時45分である。昨日下った餓鬼山とは打って変わった樹林の中の緩いトレイルを下る。一部沢筋の荒れた道もあるが概ね良く整備されたトレイルで、大黒銅山開発時に付けられた道であろうかと推察しながら歩く。1時間ほど歩くと休憩ポイントの看板が立つ「餓鬼の田圃」である。登山道から5mほど下った湿原には雨量観測ロボットも設置されていた。
餓鬼の田圃から急坂を下ってゆく。前方には白馬岳から延びる、清水尾根が良く見えて、黒部の名峰名剣山が屹立している。南越に有る奥鐘山への取り付きは見落としてしまい、気が付けばチョロチョロと流れる水場に到着した。南越を確認できなかったことを後悔したが後の祭りである。ペットボトルを満タンにして再び急坂を下る。濡れた石で2回ほど尻餅をついたが事なきを得た。やがて南越沢に下りつく。ここでも休憩を挟み南越沢左岸をヘツル登山道を下ってゆく。この縦走路一番の悪路でアップダウンも連続する。結局南越沢左岸を1時間ほどかけて下り、唐松岳登山道入り口には10時の下山となった。
すぐ近くに見える祖母谷温泉へ向う。朝のうちから一人貸切の温泉に浸かって、疲れと汗を流した。余力があればここから清水尾根を白馬岳に登り返し猿倉か八方に回りたいものであるが、今はもうそんな年でもないことを自覚するのであった。
1時間ほど祖母谷温泉で寛いだ後、欅平に下り、トロッコ電車で宇奈月温泉に出て、富山地鉄・北陸本線・大糸線を乗り継ぎ、白馬には19時過ぎの到着となった。タクシーで八方ゴンドラ駅に向かい車を回収して帰宅した。

 

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