| 山行記
駒ケ岳・中ノ岳の越後三山から眺めると、後方というか前方というか、とても気になる三角錐の山が荒沢岳である。
奥只見シルバーラインの白光岩トンネルを抜けて、銀山茶屋を右に曲がると荒沢岳登山口に着く。
車中で夜明けを待つことにする。夜明け前から激しく雨が窓を叩いて気がもめるが５時前には雨音も収まる。
見上げることもなく回りはガスが深い。６時前には先発が小雨をついて出発するのを見れば思い切るしかない。６時30分に雨具をつけて軽装で出発する。
登山道入り口は沢道になっていて、すぐ取水場に到着する。周りはまだ明きらないガスの中で何の疑いもなくまっすぐ沢を登る。しかしこれが大いなる間違いであって、この後約1時間半近く藪の中で彷徨を繰り返すのである。全く足跡がなければすぐに引き返したであろうが、やはり間違えて入り込んだものがあるためにかすかに踏み跡もあれば、行くつくところまで行かざるを得ないのである。そういえば2週間前にも南アルプス鋸岳で標識を見落として山中彷徨をしたばかりである。そんなことも頭をよぎり、間違えに気づくのも早く、引き返して取水場まで戻れば、左側に立派な登山道がついいて、あわててその道を進むのである。（この間のロスタイムは1時間20分）樹林の道を黙々と進むが、失ったものは時間ばかりでなく気力までを奪い、なかなか気合が乗らないのだ。
途中、荒沢岳から兎岳までの登山道整備に向かう地元の方と雑談を始めるころには、ようやく気を取り直す。ブナの原生林の尾根道を急ぎ、最初の鎖場を乗り越え1262mピークにつく。一息入れるがこの先の展望はガスの中で何も見えない。左にトラバースして、雨に濡れた岩場を長い鎖と鉄梯子を登りようやく前嵓につく。ここから先もガスで視界の利かない中、残り1時間40分という時間目標の中、急坂の尾根道を登り続ける。息も絶え絶えになるころに九合目看板が見えてきてようやく頂上間近を感じる。
最後はやせた岩場を乗り越えて、頂上には12時少し過ぎに到着した。
登山口での山中彷徨と、殆ど休みなしの登りに汗だくとなり、Tシャッツを着替えて一息ついた。
休憩中、当たりも明るくなってガスの切れるのも間近かなと思うが、30分待ってもガスは切れない。仕方なく往路を下ることにする。
前嵓に着くころにはようやくガスが切れて、見る見る間に視界が開けてきた。今登ってきたばかりの荒沢岳の頂上が見える。
眼下には奥只見ダム湖も見えて周囲の概要が開けてくると、すばらしい展望に満足感がいっぱいとなるのであった。前嵓の岩場を慎重に下り長い尾根道を下って、15時半登山口に到着した。
2008.10.09 荒沢岳～兎岳～中ノ岳～越後駒ケ岳 縦走記録
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