裏剱絶景
(欅平〜阿曽原〜仙人池〜室堂へ)
池ノ平山 | イケノタイラヤマ | 標 高 | 2561m | 日本の山1000 |
山 域 |
剱岳周辺 |
登 山 記 録 | |
登山月日 | 2009年9月4日〜9月6日 |
登山経路 | 9月4日 宇奈月温泉7:32〜(トロッコ電車)〜欅平8:55/9:15〜水平道分岐10:05〜志合谷11:30/11:45(昼食)〜折尾谷12:50〜阿曽原14:10
9月5日 阿曽原4:50〜仙人ダム5:50〜1629mP8:45〜仙人湯小屋9:10/9:20〜仙人池ヒュッテ11:50/12:15(昼食)〜池ノ平小屋13:10〜池ノ平山14:45/15:00〜池ノ平小屋16:00〜仙人池ヒュッテ16:45 |
行動時間 | 第一日 6時間40分 (歩行 4:55) 第二日 12時間10分 (歩行11:30) 第三日 12時間10分 (歩行 9:00) 合計 31時間(移動・休憩時間を含む)歩行(25:25) |
天 候 | 第一日 晴 第二日 晴 第三日 晴 |
メンバー | 単独 |
情 報 |
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アクセス | 宇奈月温泉駅、立山駅までは問題なし |
トレイル | 欅平〜阿曽原〜仙人ダム 黒部川左岸の水平道は整備されているがスリル満点 仙人ダム〜仙人湯 雲切新道は木の根の絡まる急登だがしっかりしたトレイル 仙人湯〜仙人池ヒュッテ 荒れた仙人谷を詰める 仙人池ヒュッテ〜池ノ平山 荒れてはいるがよく踏まれている 仙人池〜二股 良く整備されている 二股〜剣沢小屋 剣沢の川原の河畔の荒れた登山道一部は雪渓を歩く 剣沢小屋〜室堂 剱岳登山道だが決して良い道とはいえない |
水場・トイレ | 全コース沢水随所 トイレは各小屋 |
その他 | このコースの逆コースを歩く登山者が多い |
第一日目 |
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宇奈月温泉駅〜黒部峡谷鉄道のトロッコ電車に乗って欅平に向かう。 出掛けに雷鳴轟いて大雨降るが直ぐに止んで一安心だ。 平日の朝一番のトロッコ電車の乗客は10人ほどで沿線観光施設に働く従業員が10名ほどであった。 |
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室井滋さんのテープによる沿線案内で黒部川の清流と渓谷美を見ながら、時に歴史的建造物も見ながらの1時間半ほどの時間だ。 | |
欅平は観光基地になっていて売店もある。 富山県側からの白馬岳&唐松岳もここが登山基地となる。 阿曽原方面への登山道は駅裏から一気に急坂を200mほど登る。 |
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稜線まで40分ほどで登りつき更に10分ほど稜線を行くと水平道に合わさる。 黒部川左岸の断崖絶壁の中段に切られた水平道が延々と続いている。 断崖絶壁の区間はそれほどでもなく、多くは谷側に樹木もあり恐怖心は薄れる。 |
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志合谷が合わさるところにはトンネルが有ってヘッドランプ点灯しなければ歩けない。私は欅平〜阿曽原〜仙人ダムまでヘルメットを装着した。
水平道随一の難所は大太鼓と呼ばれるところで恐怖心が一気に高まる。歩道の幅は1mくらいで高さは2mくらいである。良くぞま〜こんなところにと思う所でもある。 |
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欅平から3時間半折尾の滝に着いた。眼前には奥鐘山の大岩壁が迫って見える。欅平から阿曽原まで水平道で会った登山者は阿曽原小屋に着く寸前の女性一人だけであった。紅葉が盛りの頃までは歩く人も少ないのだろうかと思う。 | |
今日の宿泊地阿曽原温泉小屋には欅平から5時間後の14:10の到着となった。今日はここまでと思って、ゆっくり歩いたつもりだが、やはり先を急いだ感もあり、昼食休憩などを含めても5時間の歩行時間は妥当な時間だと思う。 小屋は鉄骨プレハブの無粋なものだが、私はいつもこういう建物で現場生活をしたので懐かしい。 ビール・清涼飲料は自動販売機であって、電気は仙人発電所から引かれているらしい。 |
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荷物を下ろしたあとは阿曽原温泉に浸かる。 黒部川の清流を見ながら、高熱隧道から湧出する温泉でしっかりと汗と疲れを落とすことが出来た。 |
第二日目 |
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阿曽原温泉小屋から100mほど登って再び水平道に出る。仙人ダムまでは丁度1時間かかった。立派な関電の人見平宿舎がありびっくりする。 宇奈月からここまで関電専用軌道が通じているのだ。 この辺りは黒部峡谷のS字峡と呼ばれているところで素晴らしい峡谷美が見られるところでもある。 |
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発電所の管理棟内につけられた歩道とダムサイトを進み、仙人谷を少し上流に行くと、雲切新道の登山口になっていた。 阿曽原温泉から仙人温泉への直登の登山道は滑落の危険があり、登山道整備もままならないため2006年で廃道になった。 雲切新道は樹林帯の中急登が続くがゆっくりと登ればそれほどの苦になるものではない。 |
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雲切新道を2時間半ほどで喘ぎ1629mピークに登りつけば、右下方に仙人湯小屋が見えてた。 20分ほどトラバース道を下り、仙人湯の元湯の噴気を見ながら・・・。 |
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仙人温泉に到着した。正に仙人の湯であるが帰りのお楽しみというところである。 (計画変更で温泉に浸かることは出来なかったのが残念である) 仙人谷の後方は白馬岳&唐松岳方面である。 |
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仙人湯小屋からは仙人谷を詰めてゆく。 一部割れた雪渓を超えるが荒れたゴーロ沢と河畔の登山道は徐々に傾斜を増してゆき厳しい登りとなる。 今朝剣沢を発った登山者と出会うのもこの辺りである。今日は5人の登山者と会い、情報交換できた。最後は涸れ沢となり、右岸側に合わさる小沢を少し登って木道が続く仙人池ヒュッテへの道となっていた。 |
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今日の宿泊地・仙人池ヒュッテには阿曽原温泉小屋から7時間を要し12時少し前の到着となった。名物管理人のおば〜さんが色々とアドバイスしてくれる。 小屋前の仙人池からの裏剣の景色はガスで見えない。 宿泊手続きを済ませた後、サブザックで池ノ平山を目指す。 15分ほど先の仙人峠に着くと裏剣の絶景が見えてきた。 |
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裏剣を左に見ながら30分ほど進むと池ノ平小屋に着く。北アルプスで最も小さな山小屋が売りの小屋であるが、目の前は裏剣が、下方には平の池ノ湿原が見える絶景の地である。 景色を見ながら小屋の管理人としばし談笑し、「小屋から標高差500m・往復3時間はかかるよ」という、池ノ平山に向かう。 |
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池ノ平小屋の下方に見える、平ノ池の湿原 | |
小屋から直ぐ先に池ノ平山への登山道はあった。 10分ほど潅木帯を行くと草原の中に飛び出した。 チングルマが花を散らしてはいたが、ミヤマキキョウなどが咲き誇る素晴らしいお花畑が広がる草原は山頂まで続いていた。 |
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お花畑には雷鳥も姿を現し草の実を啄ばんでいた。 登りで写した雷鳥であるが、律儀にも下りでも姿を現してしっかりとポーズを取ってくれるのであった。疲れた心身を癒してくれるのである。 |
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秋の花カライトソウが咲く先に裏剣の絶景が開けている。 「池ノ平山まで足を延ばしてよかったな〜」と思う景色である。 |
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池ノ平山には小屋から1時間半で登りついた。 山頂付近を歩いて三角点と山頂標識を探すが見つけることは出来なかった。もしかすると絶壁を隔てて屹立する北峰が池ノ平山であろうかと思うが、時間がないので南峰で登頂済みとする。 山頂からは剱岳北方稜線へ続く道が延びていた。 |
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草原の池ノ平を一気に下り、来た道を仙人池ヒュッテに戻る。 仙人池ヒュッテ〜池ノ平山までの往復時間は4時間半掛かり16:45分の帰還となった。 小屋のおば〜ちゃんは自炊の私を隣にして良く面倒を見てくれる。 暮れ行く裏剣を眺めていると、とめどなく涙が落ちてきて「お客さんどうした?」の声に、涙も拭かず恥ずかしげもなく「日本で一番見たかった景色に感激しているのです」と応えるのであった。 |
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こちらは暮れ行く別山・大汝峰方面 |
第三日目 |
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前夜は右ひざ痛が発生し、戻りのコースを考えて眠られぬ夜であった。 登ってきた阿曽原に下り、水平道を欅平まで戻るには11時間以上はかかる。結局、歩行時間が8時間で済みそうな室堂に廻るコースに計画変更する。 北方稜線を目指して数名のグループが出た後、月光を浴びる夜明け前の裏剱を見ながら5:15にヒュッテを出る。小屋のおば〜ちゃんが見送ってくれた。 |
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仙人峠まで来ると裏剣の岩峰を朝日が赤く染める。 | |
仙人新道をグングン下り、朝日を浴びる裏剣が迫ってくる。 | |
小窓雪渓の右に昨日登った池ノ平山も輝いている。北方稜線に続く山だ。 | |
まだまだ残雪たっぷりの三の窓雪渓だ。ここを登って北方稜線に出る登山者もあるようだ。 | |
仙人池ヒュッテから500m位は下って二股に着く。 ここまで標高を下げるとは思わなかったので、「こちらに廻ったことがよかったのかな〜」と思わせられるところでもある。 |
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剣沢の川原と河畔の荒れた登山道を歩いて真砂沢ロッジ二到着した。 (真砂沢ロッジの前にはハシゴ谷を越えて黒部ダム方面に向かう分岐もある) |
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真砂沢ロッジから見上げる剣沢源頭部。 最奥に見える三角頭が一服剱で、あそこまで登らなければならない。 標高差は1000mはあると思われがっくりと来る。 |
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真砂沢ロッジから少し行くと雪渓が現れるが、大きく割れていて直ぐに河畔の登山道に戻る。 | |
再び雪渓が現れ、これが三大雪渓の一つ剣沢雪渓だ。 | |
右側からは長治郎谷が合わさっている。 | |
雪渓を500mくらい歩くと今度は平蔵谷が合わされている。 ここまでで雪渓歩きは終わる。 |
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剣沢左岸の荒れた道を行く。 徐々に傾斜はましてつらい登りである。体力の消耗激しく、休憩インターバルも短くなるというものだ。 |
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剣沢の上部に来ると剱岳本峰も見えてくる。 そして真砂沢ロッジから2時間50分を要して新装なった剣沢小屋に到着した。 ここでも剱岳の勇姿を見ながら10分ほどの休憩を取る。 剱岳から下ってくる登山者の声も聞こえてくる。 |
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ここまでは数名の登山者と行き交うのみであったが、ここからは剱岳登山者のにぎわい登山道である。 剣沢キャンプ場は剱岳登山者のテントで大賑わいであった。 |
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正午丁度に別山乗越に立つ剣御前小屋に到着した。 長い長い、剣沢の登りから開放されて肩で息をしながら、小屋の日陰に腰を下ろし昼食をとる。 私はこの小屋に泊まったことも含め、5回目の剣御前で、いつも剣岳の勇姿を目の前に出来る幸運続きである。 |
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右ひざ痛をかばいながら雷鳥平を1時間で雷鳥平に下る。 目の前に目的地が見えるが焦らずに下ることが肝要である。 |
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室堂までは最後の登りである。ゆっくりそして気合を入れて登り返す。 立山も少し秋色に染まり始めた。 |
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仙人池からは9時間かけて14:15漸く室堂に到着した。 待つ間もなく美女平行きのバスに乗り込みケーブルカーを乗り継いで1時間後には地鉄立山駅に下り立つことが出来た。 立山駅では20分待ちで15:50発の宇奈月温泉行きの特急電車に乗ることが出来て、17:30分には宇奈月温泉の駐車場で車を回収し、帰宅の途に着いた。 |