天祖山 テンソサン 標 高 1723m 日本の山1000

山 域

奥多摩
酉谷山 トリタニヤマ 標 高 1718m 日本の山1000

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奥多摩
天目山 テンモクサン 標 高 1576m

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奥多摩
蕎麦粒山 ソバツブヤマ 標 高 1473m 日本の山1000

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奥多摩
登 山 記 録
登山月日 2008年5月30日〜31日
登山経路 5月30日
東日原5:40〜八丁橋6:45/6:55〜大日天神8:12〜天祖山10:00/10:10(道迷ロスタイム2時間25分)12:35〜長沢背稜分岐13:35〜酉谷山避難小屋15:25/15:35〜酉谷山15:50〜酉谷山避難小屋16:00

5月31日
酉谷山避難小屋6:10〜ハナト岩7:30〜天目山(三ツドッケ)〜一杯水小屋8;30/8:40〜蕎麦粒山9:40/9:45〜一杯水10:45/11:00〜東日原12:40
行動時間 第1日目 9時間15分(ロスタイム2時間25分) 
第2日目 6時間30分   
合計    15時間45分(休憩時間・ロスタイムを含む)
天  候 第1日 曇 第2日 雨/曇
メンバー 単独

情  報

アクセス 東日原まではバス道路 公共駐車場もある
トレイル 八丁橋〜天祖山は踏み跡薄いが迷うことはない 天祖山の後(梯子坂の頭)が広く道迷いした
長沢背稜は水源監視道路で快適なトレイルが続く
水場・トイレ 水場は酉谷小屋は豊富に出ていた 一杯水の小屋付近は涸れていた トイレは各小屋にある
その他 長沢背稜は静かな山旅が楽しめる

山行記


天祖山と山頂の天祖神社


長沢背稜に出てヤシオの咲くトレイルを行く


酉谷山山頂と酉谷避難小屋


ヤシオツツジが美しい天目山山頂と長沢背稜の終着蕎麦粒山山頂

第1日目
東日原の公共駐車場で車中泊する。ここが東京都かと思わせられるような山中である。現在は日原鍾乳洞や石灰鉱山などが知られる奥多摩の登山基地でもあるが、どんな歴史があるのか興味は尽きない日原である。
昨夜の雨は上がっていたが山頂は雲の中の鬱陶しい朝である。避難小屋泊まりの荷物が入ったザックを担いで鍾乳洞方面の道を行くと直ぐに登山届け受付の交番があった。戸を開けて登山届けを記入していると早朝5時と言うのに係りのお巡りさんがパジャマ姿で起き出して来てくれた。「今日は酉谷山の避難小屋か一杯水の避難小屋に泊まる」と告げるといろいろ情報やアドバイスをしてくれた。これがありがたい事で安心して山を歩けるのである。
小川谷橋を渡り、日原川に沿って舗装道路の林道を八丁橋まで行くと、林道は孫惣谷林道と日原川林道に分かれていた。天祖山への案内看板に導かれて日原川林道に入り橋を渡ると直ぐに天祖山登山口である。林道をそのまま進めば雲取山への道だ。ここまで東日原を出て1時間で、朝食をとるにはちょうど良い。これからの長丁場を覚悟してゆっくりとそしてしっかりと腹ごしらえをして、登山口に入る。
このあたりの山はどこもそうであるが、とりつきの山腹が特に急坂である。上方を見上げればいつ落石があるか恐怖感が涌いてきて急がせられる。そしてザレタ道である。しかしそんな中、登山道の路肩は石積みされて良く整備されている。昨日の疲れもあって足の上がりはもう一つであるがゆっくりゆっくりと登り、稜線には35分ほどかかって登りつく。稜線で一息入れた後、緩くなった登山道を30分ほどで朽ちて崩れおちそうな建物の大日天神についた。余り気持ちがよくないので休まずに進む。ブナ林の中、登山道は更に緩く続いていて快適な歩きが楽しめるが展望はない。沢越しに石灰採掘鉱山の重機の音が聞こえ始める。少し急坂を登って天祖山神社の社務所を見ると山頂はすぐであった。山頂には天祖山神社が立っていた。
展望もなく余り長居のしたくない山頂であるが、神社の裏手に廻って軽食を取る。10分ほど休憩の後、長沢背稜に向かって歩き始める。梯子坂の頭付近は広い台地上になっていて倒木が登山道を塞いでいた。何回か倒木をまたいで進み何本目かの倒木に沿って踏み跡を追うと、林業の作業道に道を間違えてしまう。戻ればよいものを山中にトラバースをしながら登山道を探すうちにとうとう完全な道迷いを犯してしまうのであった。結局ヒノキの植林地を下り1時間半くらいのアルバイトを強いられて梯子坂の頭に登り返す。更に15分ほど戻って、天祖山神社までもどざるを得なくなった。
2時間前に休憩した地点で昼食を取り再び長沢背稜への道に入る。道を間違えた大木を跨ぐとその先には立派な登山道が続いていて納得である。梯子坂のくびれへの急坂を下り、鞍部につくとやっと安心することが出来たが、今日の終点は酉谷山避難小屋を覚悟する。明日の天気が悪そうなので出来れば一杯水の小屋まで行きたいと思っていたのである。鞍部からは緩やかに登って長沢背稜に出る。雲取山から下って芋の木ドッケから長沢山・酉谷山・三ツドッケ・蕎麦粒山などに続く、東京都の水源林管理作業道である。奥多摩の中でも一番静かな領域で私も一度は歩きたいと思っていた道である。今日は残念ながら展望が利かない。右側からは石灰鉱山の採掘音が響いている。奥深い山道ではあるが本当に歩きやすく、さすがは東京の山を実感させられるのである。正に公園の中を思わせられる。勿論ここは秩父多摩甲斐国立公園ではある。
薄暗い長沢背稜を黙々と歩く、誰とも会うことがない。目標の酉谷山分岐に来るがザックの重さも少しは肩に感じるようになり、一旦酉谷山の避難小屋に入ることにする。稜線の酉谷山分岐〜20分も掛かって酉谷山東の肩の少し下方にある避難小屋に到着した。避難小屋は昨年の台風の豪雨により土台の基礎が崩落し危険な状態で、今は使用禁止の看板が立っていた。朝、登山届けを出すときにこの状況は知らされていたので驚くことはなかったが、少々不安もよぎる。しかしドアを開けて中に入ると素晴らしいログハウスである。今日はココに泊まることを決めてザックを下ろす。そしてカメラだけもって酉谷山を往復する。小屋に戻ると霧雨が舞い始め、ちょうど16時であった。
汗で濡れた着衣を着替え、小屋に備え付けてあった銀マットや毛布を敷いて持参したシュラフを広げると立派な今夜の寝床が出来上がった。そして小屋前の水場で冷やしたロング缶のビールを飲む。疲れた体の五臓六腑に染みる。ビールが終われば3合の日本酒である。たいしたつまみはないが正に至福のひと時だ。携帯ラジオも良く聞こえる。一人だけでも少しも寂しくはない。パックご飯とカレーを温めて食べると疲れと酔いで一気に睡魔が押し寄せてくるのであった。
崩壊地の縁に立つ危険な山小屋であることなどお構いなしに、ゆっくりと休み疲れを取ることが出来たのである。
霧雨は夜半には本降りの雨に変わっていた。

2日目
快適な酉谷山避難小屋の夜は明けた。気温は5℃、外はそぼ降る雨である。トイレもきれいなエコトイレであった。
朝食は口に入りの良いラーメンを作った。副食もしっかりと取って腹ごしらえをする。小屋の片付けを済ませる。そして下着に雨合羽を直に着て、雨傘さして小屋を出る。
そぼ降る雨では有るが風がないので助かる。雨傘のお陰であまり濡れることもない。単調な長沢背稜の林道は目標がないのが物足りない。黙々と歩いていると七跳山(ナナハネヤマ)下に初めての看板があった。二つ目の目標のハナト岩につく直前で縦走路に腰を下ろして一息入れる。ハナト岩からの展望は霧の中では開けていない。そして又林道を進むと、天目山(三つドッケ)の看板がある。縦走路を離れてヤシオツツジが美しく咲く天目山の山頂も踏む。
天目山は細長い尾根が続いていて一部はこの縦走路には珍しい露岩であった。天目山を下ると一杯水の避難小屋が立っていた。縦走路もココで合わされている。酉谷山避難小屋から雨の中、2時間半の長丁場であった。
清潔に保たれた小屋には誰もいない。ザックを下ろして一息入れる。サブザックに水とカメラ・貴重品を入れて再び長沢背稜を蕎麦粒山目指す。小屋の直ぐ先にある一杯水の水場は涸れかけていて水を取るには少々無理であった。秩父の浦山に下ると言う仙元峠を過ぎて(巻いて)縦走路と分かれてスズタケの中の急坂を少し登ると蕎麦粒山山頂であった。既に雨は上がっていたがここも展望のない山頂である。
西上州・奥秩父・奥多摩・大菩薩・丹沢などに小分類された関東山地の目標の最後の山を登り、感慨無量である。5分ほどで山頂を辞して長沢背稜を一杯水の小屋に戻る。小屋にデポしたザックを担ぎ東日原へのヨコスズ尾根に入る。疲れた足を引きずりながら一目散に尾根を下る。尾根の途中からは杉林に代わり、緩く等傾斜に切られた登山道を下って東日原の公共駐車場に下りついた。
雨と汗で濡れた着衣を着替え、さっぱりとした支度で昨日登山届けを出した交番に下山報告をする。日原谷を奥多摩駅に下る。何回か車中泊した小河内ダムの駐車場で残した食料で軽食をとる。
奥多摩街道(?)を走り、柳沢峠を越えて甲府盆地に出る。一般道のR20を走って長野県に入る。R152を白樺湖をこえ自宅に戻った。

 

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