仙丈ケ岳から地蔵尾根を下る

仙丈ケ岳 センジョウガタケ 標 高 3033m 日本百名山 山 域 南アルプス
丸山谷ノ頭 マルヤマダニノカシラ 標高 2460m - 山 域
地蔵岳 ジゾウダケ 標高 2371m - 山 域
松峰 マツミネ 標高 2080m - 山 域
登 山 記 録
登山月日 2015年8月15日〜8月16日
登山経路 8月15日
北沢峠7:30〜大滝頭9:15/9:20〜小仙丈ケ岳10:30/10:45〜仙丈ケ岳11:50/12:20〜地蔵尾根〜丸山谷頭15:00(往復約30分)〜地蔵岳16:15(往復約30分)〜松峯小屋分岐17:00〜松峯小屋17:15
8月16日
松峯小屋8:10〜松峰分岐8:45/9:30(松峰往復)〜林道終点10:30〜孝行猿の墓11:50〜柏木入口12:10〜市ノ瀬12:40
行動時間 8月15日 9時間45分 8月16日 4時間30分 合計 14時間15分 (休憩時間・ロスタイム含む) 
天 候 8/15 晴  8/16 晴
メンバー 親子二人連れ登山隊
情   報
アクセス 北沢峠まで市営バス 市ノ瀬からは市営長谷循環バスがある
トレイル 北沢峠からは人気の快適トレイル 地蔵尾根も上部は岩稜帯あるが樹林帯に下れば快適トレイル
水場・トイレ 北沢峠以外にトイレ水場無い(松峯小屋10分ほど下ると沢水取れた)
その他 地蔵尾根はクラシックルートも最近よく整備されている赤布が下がり道迷いの心配はない
山行記


五合目の大滝頭・小仙丈ケ岳


左)北岳・間ノ岳・塩見岳  (右)仙丈ケ岳が見えてきた



仙丈ヶ岳山頂・シコタンソウ

昨日は甲斐駒ケ岳に登り、今日は仙丈ケ岳に登り地蔵尾根を下る計画である。
長衛小屋前のテント場でテントを撤収パッキングをしていると、仙流荘を一番バスで出た登山者がキャンプ場に着いてテントを張る時間であった。北沢峠のトイレで用を済ませ7時半に仙丈ケ岳の登山道に入った。登山道は二合目までは樹林帯の中緩く登る快適トレイルが続くが、その先は尾根を巻いたり転石や木の根絡まる悪路が続き大滝頭まで汗を絞られる。それでもテントの入った重いザックはムスコが担いでくれるので有り難い。重いザックを担いだムスコの後を必死に追うだけである。馬の背ヒュッテへの道を分ける大滝頭(五合目)から急登を凌ぐと後方に甲斐駒ケ岳が見えてきて、やがて森林限界に出た。甲斐駒ケ岳や鋸岳が素晴らしい。そしてこれから行く小仙丈ケ岳に続く登山道が明るく開けている。ハイマツ帯の中のトレイルを50分ほど歩いて小仙丈ケ岳である。眼前に北岳から間ノ岳・塩見岳などが望まれて小仙丈カールが美しい。ここで最後の休憩を取って仙丈ヶ岳目指す。右手の仙丈ケ岳カールの下に仙丈小屋を見るころには仙丈ヶ岳山頂はすぐそこである。北沢峠から4時間20分ほどかかって仙丈ヶ岳に登り付いた。山頂は30名を超える集団登山隊に占拠されていて写真を撮るにも一苦労であった。山頂の一角に腰を下ろして昼食を取り、シコタンソウなどをカメラに収めたあと、30分ほどの滞頂で霧が巻き始めた山頂を後にした。

仙丈小屋への分岐で馬の背から地蔵尾根に入る。この先未踏の尾根で少々緊張するが、登山道には赤布が随所に下がり道迷いは無さそうである。地蔵尾根の下り始めは岩稜帯であるが、下り足の遅いムスコでも1時間ほどで突破できた。岩稜帯の途中から東側にダケカンバ林の中トラバースして行き、シラビソの幼木の尾根に出る。どうやらこの尾根が地蔵尾根かと思うのである。シラビソ林の中急坂を下りきると鞍部になっていてテントも張れる広場もあった。鞍部に下り付くころ、単独行の女性が上がってきてびっくりする。「今日は仙丈小屋に予約してある」というが、ザックは幕営スタイルであるから、仙塩尾根を縦走する山の猛女であろうと推測する。ここからは緩い下り勾配の登山道が続いていて、赤布が目障りになるほどつけられていた。笹や藪が被さるところも少なく、道迷いの心配などは微塵もない。ピークを東側に巻く道に来て地蔵岳かと思い、巻き道が再び尾根に出たところにザックを下ろし、ムスコを待たせて藪の尾根を登り返すと、最高点と思しき樹木に何やら巻きつけられた標識があって、丸山谷の頭であった。(てっきり地蔵岳と思っていた)登山道に戻って再び尾根を小一時間下ると、同じように東側に巻く道があった。「これこそが地蔵岳か」と確信し、巻き道が尾根に戻る場所に、先ほどと同じようにザックを下ろしムスコを残して藪を漕ぎながら尾根を直登して最高点に立つと「地蔵岳」の看板が下がる三角点があった。目標であった地蔵岳が踏めて大満足である。ムスコのいる場所に戻って地蔵尾根を下る。なかなか現れない松峯小屋分岐には急坂を下り切って17時前に到着した。松峯小屋は尾根から数分下がった唐松の植林帯の中にあった。営林署の造林小屋を避難小屋に提供しているのである。真ん中に土間があり両側が板の間になった飯場作りである。水場は小屋から10分ほど下った沢に、ちょろちょろと流れていた。あまりきれいな水とは言えないので煮沸して利用した。小屋は傷みが激しく虫刺されや小動物の侵入を回避するために板の間にテントを張った。ムスコと二人持参したビールを沢水で冷やして乾杯し焼酎を飲んで歌を歌いながら休んだ。


仙丈ヶ岳を後に地蔵尾根に向かう


岩稜帯を下って樹林帯に


丸山谷ノ頭


地蔵岳山頂・松峯小屋分岐


松峯小屋の夜は屋根に松ぼっくりが落ちる音等以外は静かな夜でムスコと二人ぐっすりと熟睡できた。今日は市野瀬までの下り4時間の行程であるから慌てることはなかった。しっかりと朝食を取ってパッキングを済ませると出発は8時になった。尾根に登り返しすぐに小ピークを踏む。そして下って西側にピークを巻く頃が松峰を巻く道と思い、西側に一杯張り出した場所にムスコを残して、カラマツの植林帯を直登した。登り切ると樹木に黄色いテープが巻かれてイアたので松峰山頂かと思ったが更に付近を探すとKUMO氏の手製の「松峰」の山名プレートを見ることが出来た。山頂標識をカメラに収めた後は登山道に戻る。登山道は大きく松峰を巻いていた。カラマツ林の平坦な場所を過ぎると右前方に林道工事が現れた。工事道路と並行して少し下ると林道に出た。ここまで車で上がれるようだ。その後は林道をショートカットしながらクラシックルートを下って行く。三峰川電力の送電鉄塔を過ぎ、「孝行猿の墓」を見ると柏木集落まではわずかな時間であった。数軒の民家がある柏木集落からは舗装道路を歩き市野瀬に下った。
市野瀬の休養施設で昼食を取り入浴をして汗を流して、伊那市長谷循環バスで仙流荘に向い車を回収した。


松峯小屋・松峰山頂


林道終点仙丈ヶ岳登山口


孝行猿の墓・柏木登山道入り口


仙丈ケ岳〜仙塩尾根〜三峰岳〜間ノ岳〜北岳〜両俣小屋

2005年仙塩尾根(北岳〜三峰岳〜塩見岳)の記録

仙丈ケ岳 センジョウガタケ 標 高 3033m 日本百名山

山 域

南アルプス
三峰岳 ミブダケ 標 高 2999m 百高山番外

山 域

南アルプス
間ノ岳 アイノダケ 標 高 3189m 日本百名山

山 域

南アルプス
北岳 キタダケ 標 高 3192m 日本百名山

山 域

南アルプス
登 山 記 録
登山月日 2008年7月18日〜20日
登山経路 7月18日
伊那市戸台6:05〜バス〜北沢峠7:10/7:15〜大滝頭9:00〜小仙丈ケ岳10:10〜仙丈ケ岳11:25/11:35〜仙丈小屋12:10
7月19日
仙丈小屋5:00〜仙丈ケ岳5:20/5:25〜大仙丈ケ岳5:50〜伊那荒倉山7:50〜高望池7:55/8:10〜独標〜野呂川越10:00/10:20〜三峰岳13:35/13:45〜間ノ岳14:40〜北岳山荘(キャンプ場)16:20
7月20日
北岳山荘6:55〜北岳8:05/8:20〜中白根沢の頭9:20/9:25〜左俣大滝10:40/10:45〜両俣小屋11:45/12:10〜北沢橋14:20/14:40〜バス〜北沢峠14:50/15:00〜バス〜戸台15:45
行動時間 7月18日  5時間      (北沢峠〜仙丈小屋)
7月19日 11時間20分 
7月20日  7時間25分  (北岳山荘〜北沢橋)
合計    23時間45分   (休憩時間を含む)
天  候 18日曇・霧 19日晴 20日晴
メンバー 単独

情  報

アクセス 戸台までは問題なし
トレイル 仙丈ケ岳まで 
百名山人気のトレイル
仙塩尾根    
独標辺りは倒木多く一部は薮の中にトラロープで案内されている。その他は少々荒れているが道迷いの心配はない。野呂川越〜三峰岳はよく踏まれている。
両俣小屋まで 
北岳肩の小屋上の分岐から少し踏み跡薄いところある。中白根沢の頭〜佐俣大滝は急坂であまり踏まれていなく荒れている。左俣沢は徒渉の連続で右俣沢との合流地点は靴を濡らす。北沢橋までの林道は落石注意
水場・トイレ 水場
北沢峠 仙丈小屋 高望池 北岳山荘 左俣大滝から下沢水あり
トイレ
北沢峠から上は各小屋で
その他 仙塩尾根は累積標高差1000mを越える
人気の北岳の裏コース

山行記

7月18日


北沢峠から3時間小仙丈ケ岳に着くとオコジョが岩陰から現れる(餌をねだっているのかな)


ガスで展望の利かない稜線を1時間歩いて10年ぶり2度目の仙丈ケ岳に立つ

昨年、甲斐駒ケ岳〜鋸岳の鋸尾根、アサヨ峰〜高嶺の早川尾根を歩いて残った南アルプスの主稜線は仙丈ケ岳〜三峰岳までの仙塩尾根の半分だけになった。ここを歩いて南アルプス主稜線踏破完了である。
この尾根の標高は森林限界に達しない区間が多く、展望も開けない単調な樹林帯を歩くので通称「バカ尾根」と呼ばれている。大学生のワンゲルか南ア全山登頂を目指すものが歩いている静かな山域である。私も高齢者入りして、もうそんなに長く幕営登山も出来なくなっていること自覚している。梅雨明け間近を待って、満を持して伊那市戸台の南アスーパー林道バス停に入る。やはりまだ梅雨は明けてはいなかった。
北沢峠への始発バス(6:05)は連休の一日前と言うこともあって、10人ほどの乗客であった。北沢峠では休むことなく仙丈ケ岳の登山口に入る。それほど傾斜もきつくなく20キロを超えたザックを担いで気合を入れてシラビソの樹林帯をゆく。二合目を過ぎて少し傾斜が増してきたのでザックを下ろして休憩していると、今朝馬の背ヒュッテを出た登山者が下ってきて情報交換する。話し込んでいる間に後続の夫婦連れが二組ほど追い越してゆく。
急傾斜であってもしっかり踏まれた登山道は本当に歩きやすい。薮沢小屋への分岐・大滝頭にはちょうど9時の到着となった。ここでも一息入れて小仙丈への道に入る。やがて森林限界を抜けるが周囲はガスの中であった。
ハイマツ帯の中を登り、小仙丈につき一息入れていると岩陰からオコジョが姿を現した。「餌をねだっているのかな」と思うほど愛嬌がある小動物だ。私は初めての遭遇に感動する。うまくカメラに収まってくれた。ここからは北海道から来たという夫婦連れと同行である。7月初めに小樽から舞鶴にフェリーで渡り、石見銀山を皮切りに日本百名山に登りながら、2ヶ月かけて青森まで北上予定だそうだ。宿泊は全て車中という事で、仲間のように思えるのであった。
時々切れるガスの間に馬の背方面が望まれるが展望は殆どない。それでも濡れることもなく北沢峠からは4時間ほどで仙丈ケ岳の山頂に立つことが出来た。しかし山頂到着と同時に霧雨が舞い始めあわてて雨着を付ける。
大仙丈ケ岳への分岐で逡巡するがここは潔く頂上直下の仙丈小屋に泊まることにする。登ってきた途中に仙丈小屋案内があったので、大きく戻って小屋に入った為山頂から30分以上も掛かってしまった。仙丈小屋について時間があるのでお花畑を散策していると再び山頂付近に着いた。なんと頂上からは10分もしないところに小屋はあったのだ。半日の余裕があったが翌日の長丁場を考えればよい判断であったと思う。
小屋にはその後長野市からの15人の団体と9人の単独・小グループが到着した。持参した食事で早い夕食をとると19時半には消灯となり、ゆっくりと休めたのである。

仙丈ケ岳のお花畑で憩う
 



 

7月19日


仙丈ケ岳から見る富士山と北岳


梅雨明けの朝、仙丈小屋を後に大仙丈岳越えて仙塩尾根に入る

4時前には起きて朝食をとり、5時には小屋を立つことが出来た。仙塩尾根を縦走して熊の平に向かう者は単独行者4人で、三峰岳〜間ノ岳・北岳へは私と静岡からの4人の中高年グループである。
私も両俣小屋に下ると言いながら心の中は三峰岳〜北岳山荘と決めている。小屋番は「三峰岳までは1000m下って1000m登り返すくらいのことを考えて行動するように、熊の平までは10時間かかるよ」とアドバイスしてくれる。
再び仙丈が岳の山頂に立ち、静岡のグループに「お先に」と声かけて大仙丈ケ岳の道に入る。今日は完全に梅雨が明けたようで天気の心配は一つもない。大仙丈ケ岳につくとこれから向かう仙塩尾根の先にちょこんと尖った三峰岳の岩峰も見える。ずいぶんと遠くに見えて「本当にあそこまで届くだろうか」と不安になる。しかし意を決して仙塩尾根の縦走路に入る。
ハイマツ帯の中グングンと高度を下げてゆく。そして小ピークをいくつも越えてアップダウンを繰り返す。小ピークで振り返るたびに仙丈ケ岳から離れてゆくのが実感できる。やがて森林限界に入り視界がなくなるが足元はクッションの利いた登山道になり歩が進む。大きな葉っぱの苳が群生する苳の平を過ぎ、大仙丈ケ岳から小休憩を挟みながらちょうど2時間で最初のチェックポイント伊那荒倉岳に到着した。思ったより早く歩けて少し安堵する。先着の単独行者二人が休んでいた。私は休むことなく10分ほど下がった水場のある高望池に回る。この辺は幕営も出来そうだが、「テント禁止」の看板があった。干上がった湿地帯を50mほど下った所に水が出ていた。今日の目標は北岳山荘であるが途中何があっても水だけはと3リットル補給する。ザックが重くなるのは覚悟である。
ここらあたりから倒木が激しくなり、倒木くぐり・倒木またぎの連続となる。そのたびに姿勢を変えるので疲労も増すというものだ。漸く展望の開けた岩場の独標につく。三峰川の源流域の山々がそこはかに土砂崩れの爪痕を残し連なっている。鹿児島から来たという単独行者とつかず離れず歩いてきたが彼はここで先行すると再び会うことはなかった。独標を下って野呂川越までは更に酷い倒木地帯であった。最後は結局倒木を避けてヤブの中にトラロープが張られ案内されていた。けものみち状態の中何とか凌いで最低鞍部の野呂川越には伊那荒倉岳から2時間以上もかかって10時に到着した。この時間では両俣小屋に下ることなど少しも頭に浮かばない。少々疲れたがまだまだ余力は十分だ。休憩とスタミナ補給をしっかりとして再び縦走路を行く。


樹林帯や倒木帯の伊那荒倉岳・独標・横川岳を越えて最低鞍部の野呂川越に下る

野呂川越からの仙塩尾根は下ってきた仙丈ケ岳からの道に比べ随分と整備が行き届いている。登り返しといってもそれほどの急坂もなく快適に歩くことが出来る。梅雨明けの真夏の太陽が照り付ける今日は樹林帯を歩く方がずっと良いと言うものだ。ザックが肩に食い込み10分も歩けば腰を下ろし、更に1時間おきにザックを下ろして水分補給を繰り返す。三峰岳までは700mの登り返しで、3時間のコースタイムであるが私は4時間を目標にしている。
樹林の左側には北岳から間ノ岳の3000mの稜線が高く連なっている。森林限界近くになると下山してくるものが2組ほどすれ違う。漸く森林限界を抜けると厳しい岩稜地帯の登りになる。何回もザックを岩に預け休憩しながら高度を上げてゆく。朝、両俣小屋をでた夫婦登山隊が喘いでいる。女性は空身で先を行き男性は30キロを越えるかと思うようなデカザックで少しも前に進まないのである。追い越すのが気の毒なほどであったが三峰岳山頂15分のところで先に行く。


野呂川越から標高差700m再び樹林帯を抜けると三峰岳が見えてきた


三峰岳山頂で南ア主稜線踏破を果たす(後方は農鳥小屋方面)

森林限界を抜けて1時間ほどで仙塩尾根の中間三峰岳に立つことが出来た。
これで目標の南アルプス主稜線は1本に繋がったのである。来し方の仙丈ケ岳を振り返り、そして3年前歩いた塩見岳方面を眺めてしばし感動のひと時である。


左を見れば2008年歩いた塩見岳への道 右を見れば今日歩いてきた仙丈ケ岳からの道


正面には間ノ岳への岩稜

仙丈ケ岳を出てここまで8時間半を越えているが今日の終点ではない。目の前の間ノ岳への岩稜を登らなければならない。20mほどの岩の突起・三峰岳を下りて間ノ岳に向かい始めるとさっきの夫婦登山隊の女性が軽く手を振って見送ってくれた。オヤジのほうはまだ随分と下方でデカザックで喘いでいる。私は気の毒に思いながらも軽口叩いて間ノ岳にかかる。ここも何回も岩にザックを預け休憩しながら進む。三峰岳から間ノ岳まではは標高差200mである。腕につけたプロトレックの高度計を睨みながら「50mの高度を上げるとザックを下ろす」休憩パターンで登る。
付近のハイマツの中からグワグワとライチョウが姿を現して疲れを癒してくれると三峰岳から1時間で間ノ岳の山頂に到着した。2人ほどが山頂で記念写真を撮っていたが3連休の山とは思えないほどの静かな日本百名山・間ノ岳であった。私も記念の写真を撮った後、休む間もなく北岳山荘への道を下り始める。ここは先ほど仙塩尾根から眺めたときに結構時間が掛かりそうだと思ったからである。


ライチョウ親子の出迎えを受けて間ノ岳山頂へ

北岳を正面に見ながら進むが思った通り、北岳山荘は時間が掛かる。10時間を越えるロングラン縦走で疲労もピークで、下りとはいえさっぱりペースが上がらない。ここも何回か岩に腰を下ろしながら中白根まで歩く。混雑の北岳山荘を嫌ってかこの時間でも農鳥小屋や熊の平らを目指してゆく登山者も結構いる。
中白根山の山頂に来れば目的地の北岳キャンプ場は目の前である。よれよれになりながら、仙丈小屋を出てから11時間20分後の16時20分北岳山荘に到着した。テントを張った後、夕日を浴びて輝く北岳を肴に雪渓で冷やしたビールと持参した日本酒を飲み簡単な夕食を食べるとあっという間に眠りに落ちるのであった。


正面に北岳を見ながら1時間半歩いて北岳山荘キャンプ場に到着

 

7月20日


朝は見えていた北岳も山頂付近に来るとガスが上がってきて展望得られず


(北岳山頂) 両俣小屋への分岐を過ぎて少し下ると再びガスが切れた (中白根沢の頭)


野呂川の源流域を隔てて仙丈ケ岳が対峙する


甲斐駒ケ岳・アサヨ峰・小太郎山

北岳山荘前の夜は一晩中かけっぱなしの発電機の音が煩く、そして夜半から少し風が出てテントを揺すりあまり快適とはいえない夜であった。それでも睡眠は十分取れて疲労回復は図れた。
今日の行程はそれほどでもない。食事をしっかり取り、パッキングを済ませてテント場は7時前に出る。八本歯ノコルへの道は落石と雪渓の危険があるので通行禁止となっていた。昨夜北岳山荘に泊まった登山者の大半は間ノ岳方面へ向かう。その先は白根三山縦走かそれとも塩見岳方面か。天候もよさそうで皆うきうきして小屋を立っていった。北岳方面からは今朝肩の小屋を早立ちした登山者が下りてくる。少しは軽くなったザックを担いで北岳目指す。
朝のうちは展望が利いていたが北岳への半分くらいに差し掛かるとガスが上がってきて、山頂に着くころは完全に展望がなくなった。展望のない山頂で多くの登山者が休んでいた。私もがっかりしながら写真を撮り15分ほど休憩し、山頂を後にする。
今朝、御池小屋を出た登山者が続々と登ってくる中を北岳肩の小屋方面に20分ほど下ると両俣小屋への分岐である。分岐を両俣小屋への道に入る。ざれた岩屑の中少し踏み跡が薄いところもあり、間違いやすいが慎重に選んで中白根沢の頭への道がはっきりとする。ちょうどガスも晴れてきて再び展望が開けてきた。中白根沢の頭までは気持ちの良いトレイルだ。登山道にザックを置いて中白根沢の頭に登る。対岸には仙丈ケ岳が少しはなれて甲斐駒ケ岳・アサヨ峰が良く見える。ここを下ればもうその姿は見えなくなるので最後の展望を楽しむ。
中白根沢の頭からはハイマツ帯と小潅木の中の沢を一気に下る。しっかりと踏ん張らないと重力で転げ落ちそうである。そして鬱蒼としたシラビソ林の急坂を下る。登山道は歩く者が少ないのだろうか荒れるに任せてと言う感じで朽ちた木製の階段も当てにならない。私も慎重に下ったのであるが2回ほど足を踏み外し転倒、すり傷を負うことになる。そんな中、4人の大学生グループと2人の単独行者が登ってきた。皆山慣れした顔の登山者である。
中白根沢の頭から1時間コースの左俣大滝には1時間15分掛かったが無事下山できた。雪解け水を集めた大滝が豪快にしぶきを上げる下でザックを下ろして汗をぬぐい、スタミナ補給に務める。左俣沢から両俣小屋までも結構厳しい道であった。徒渉を何回か繰り返し、ペンキマークを外さなければ問題はないが足元がおぼつかない川原である。右側からの右俣を合わせ野呂川となる場所が最後の徒渉点であった。水量が増して川幅も広くなった中、飛び石伝いに渡ろうとした瞬間足を滑らせて見事にひっくり返り靴とズボンを濡らした。忌々しい気持ちになるが自分の不注意ではどうしようもない。グチュグチュと音を立てながら野呂川の左岸を少し下ると両俣小屋である。
渓流釣りか沢登りの者か、ハンモックを下げて気持ちよさそうに休んでいた。小屋で北沢橋までの時間とバスの時間を確認すると歩行時間は2時間半かかり、バスは14時40分北沢峠行きが最終である。ぎりぎりの時間であるが腹も減っている。小屋のベンチで素早くラーメンを作り腹に収める。パッキングを済ませて小屋を出たのは12:10であった。
少しの余裕もなく焦りが出る。北沢橋までは車の通る林道かと思いきや、崩壊したり落石があったりと荒れるに任せた廃道である。本当に林道としての役目を果たしたのだろうかと疑わざるを得ない道である。流れる野呂川との高度差は200m近くになり、左岸の仙丈ケ岳の中腹を行く、大仙丈沢や小仙丈沢はかなりの水量を集めて野呂川に合流していた。途中3人の登山者と一人のチョウチョ採集の若者に会うだけの8キロの林道を黙々と歩いて14時20分に市営バスが走るスーパー林道に到着した。
流れ落ちる滝で汗を拭い、身支度とパッキングを確認して一息入れていると北沢峠に向かう南アルプス市営バスがやってきた。10分ほどで北沢峠に着き待つこともなく伊那市営バスに乗り継いで16時前には戸台に帰り着くことが出来た。
梅雨明けが発表されてうだるような暑さの中、自宅を目指して車を走らせたのである。


左俣大滝と野呂川・北沢合流点の北沢橋

 

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