2003年還暦記念立山山行奥大日岳・剱岳

日本二百名山 奥大日岳 オクダイニチダケ 標 高 2606m

山 域

北アルプス
登 山 記 録
登山月日 2003年7月28日
登山経路 扇沢7:30〜室堂9:30〜雷鳥平10:00/10:15〜室堂乗越1045〜奥大日岳11:55/12:25〜室堂乗越13:30/13:40〜別山乗越15:00〜剣沢キャンプ場15:35
行動時間 登り(室堂から)2時間55分 下り(剣沢キャンプ場まで)3時間10分 合計6時間05分(休憩時間含む)
天  候
メンバー 単独

情  報

アクセス 扇沢〜立山室堂
トレイル 室堂乗越までは少しあるバイト、その先は稜線歩きだ。
水場・トイレ 雷鳥平キャンプ場
その他  

山行記

 
剣岳から望む奥大日岳と奥大日岳山頂

扇沢から立山へ入るのは梅雨明けに立山・剣岳に登った4年前と全く同じ時間帯である。違うことと言えば前はムスコと二人、初めての本格的キャンプで緊張していたことを思い出す。
今回は還暦を迎えた私の記念の立山・剱岳訪問なのである。
扇沢からトロリーバスに乗って団体さんの後を付いているうちに、黒部湖駅では長い階段を登って展望台に出てしまった。背中には結構重たいキャンプ道具を背負っている。展望台に出ると黒部ダムの観光放流中を見ることが出来て、「まーこれもよいか」と納得する。長い階段を下って堰堤上にくれば、立山・室道を目指す団体さんが歓声を上げていた。
ケーブルカー・ロープウェィ・トロリーバスを乗り継いで扇沢からは2時間後に室堂に到着した。
雄山方面は山頂が雲の中である。目指す大日岳方面も又山頂は雲を頂いて、山容全体はよく見えない。
室堂では休むことなく立山三山を湖面に映すミクリガ池、亜硫酸ガスの匂いがきつい地獄谷を越えて雷鳥平に向う。雷鳥平のキャンプ場には30分で到着した。ここでしっかりと朝飯を食べて腹ごしらえをする。
浄土川を渡り、別山への雷鳥沢直登コースを右に分けて室堂乗越に向う。雷鳥平から1時間はかかると見ていた室堂乗越までは30分の所要時間であった。足が速いのではない、一緒に歩いた5人パーティーも同じ時間で歩いている。室堂乗越の分岐にザックをデポし、軽荷になって奥大日を目指す。大日三山への縦走路はさしたるアップダウンも無く快適な尾根歩きである。左手には称名谷はよく見えるが、立山をめぐる何処の山頂も雲の中で、期待した剱岳の姿を見ることはできずに実に残念である。完全に梅雨が明けていないせいだろうとがっかりするが、登山道脇には高山植物が満開で心を和ましてくれる。
少しの急坂をあえぐと山頂への稜線に到着し、奥大日岳はすぐそこであった。何の変哲もない縦走路の突起のように思える山頂には10人ほどが先着しており、展望の利かないガスの中で休憩していた。私も持参した弁当を開ける。後続の団体が到着すると長居は無用である。縦走路に咲く草花をカメラに収めながら往路を室堂乗越まで戻った。デポしたザックを拾い、別山乗越を目指すがザックが肩に食い込み、なかなか足が前に出ない。ゆっくりゆっくりあえいで、剣御前小屋の立つ別山乗越には15時に到着した。明日の予定の剱岳は雲の中であった。更に30分下って、思い出の剣沢キャンプ場に荷を降ろすことが出来た。

 


日本百名山 剱岳 ツルギダケ 標 高 2998m

山 域

北アルプス
登 山 記 録
登山月日 2003年7月29日
登山経路 剣沢キャンプ場4:40〜剣山荘5:00〜前剱6:15〜剱岳山頂7:20/7:40〜剣山荘9:45〜剣沢キャンプ場10:20/11:40(昼食・テント撤収)〜別山乗越12:35〜雷鳥沢〜雷鳥平13:40〜室堂ターミナル14:50〜扇沢16:20
行動時間 登り 下り 合計11時間40分(休憩時間・扇沢までの乗り物含む)
天  候
メンバー 単独
山行記(再登山)

 

元気に還暦を迎えることが出来た。春から還暦記念登山は何処の山にしようかと考えていた。8月の北海道山行がふさわしいだろうか、それとも他によい山がないだろうかと思案していたのである。
二百名山・奥大日岳を登るために、立山室堂に入る計画を立てたとき、4年前ムスコと立山連峰を縦走し、別山乗越に出たときに眼前に聳える剣岳に圧倒され興奮したこと、そして剣沢キャンプ場でテントを張って、翌日あの岩場の難所を息子をかばいながら登った思い出がよみがえり、還暦登山は剱岳こそがふさわしいと判断したのである。
奥大日岳を室堂乗越からピストンし、別山乗越を過ぎて剣沢キャンプ場にテントを張る。
キャンプ場から見る剱岳は、一服剣までは晴れて見えるが、そこから上はガスの中である。ビールを飲みながら夕食をとると、疲れからか睡魔が襲う。まだ日が明るいうちにシュラフにもぐりこむとあっという間に眠りに落ちた。夜半、目を覚ますと星空の下に剱岳の黒い影がどっしりとみられ明日の好天が予想できて安心である。
しかしなぜか眠られぬ夜をすごし、朝4時前には起きだす。朝食をしっかりとって4時半過ぎ、隣にテントを張った親子三人連れと剱岳を目指す。剣沢の雪渓を3回ほど横切って、剣山荘には20分で到着した。ここに宿を取った者は既に出発した後だろうか、閑散としている。
一服剣までは一息で登る。ここら辺りまでは雲も無く、日が昇ってきた方向には後立山連峰が黒々としている。昨日登った奥大日岳は朝日を浴びて光っていた。前剣もよく見えて何とか晴れそうな感じがして安心する。小休止して写真を撮る。
前剣まではいったん下って武蔵谷のコルを越えて、岩礫・石屑の落石危険のトレイルを慎重に登る。前剣直下の巻き道を行くと、雲流れる中に剱岳の山頂が見えてきた。風も強くなって山頂までは天気が持ちそうにない。いよいよここから鎖場が連続して平蔵のコルまで続く。2回目のせいかそれほどの恐怖感もない。最難関の「カニノタテバイ」には3人が待っているだけで、息を整える間もなく、鎖とボルトにつかまり垂直の岩場を攀じ登る。適度な緊張と恐怖感を覚えるが登りきると快感が走る。登りきった岩場には恐怖から解放された先着のパーティが休んでいた。最後の岩場は道を外した先行隊に続いたが引き返して登る。緩くなった岩礫のトレイルを更に20分もあえぎながら進むと祠の立つ剱岳山頂に到着した。キャンプ場から2時間40分、剣山荘からは2時間20分の所用タイムであった。「カニノタテバイ」での渋滞が無かったとはいえ、前回ムスコをかばいながら登ったときに比べ随分と早く登れたものだと大満足である。そういえば今回は随分と先行するものを追い抜いてきたようだ。「まーこんなことは自慢にもならない」が。
山頂は雲が切れかけるときもあるが、ほとんど展望が利かない。記念写真を撮り、軽食をとっている間に後続隊が続々と詰め掛けてにぎわい始めたので僅か20分の滞頂で後にする。
下山は時間的ゆとりも有り、余裕のくだりである。「カニノヨコバイ」では岩場にすくむものをカメラに収めたり、登るときには写真を撮るゆとりも無かった「カニノタテバイ」に廻ったり、登山道に迎えに出てくれた雷鳥を収めたりしながら、ゆっくりゆっくり下った。結局は雲の中の登山で、少し物足りないものであった。
剣山荘からキャンプ場に廻り、ビールで乾杯しながらラーメンを作り昼食をとる。
テントを撤収し、剣沢キャンプ場を後にする。早足登山で疲労が出たのか、その上重い荷物に足が前に進まない。別山乗越で剱岳に別れを告げようと振り返ると、雲に隠れていた山頂の雲が切れて、あの素晴らしい山容が姿を現した。荷物を降ろしカメラに収めてじっくりと剱岳を展望し、別れを告げた。
雷鳥沢を下る頃には立山連峰も晴れ渡り、室堂周辺の全容が開けて、疲れた体を慰めてくれるのであった。
雷鳥平キャンプ場から室堂ターミナルには1時間以上もかけて登り返し、疲労困憊状態で扇沢に下るトロリーバスに乗り込んだ。還暦記念剱岳再登山は満足度80%と言う感じで終わったのである。

 
カニノヨコバイと前剱岳の雷鳥

 
雷鳥坂から見る立山と一服剣から見る後立山連峰の夜明け

 

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