しらびそ高原・大鹿村の山
(奥茶臼山・尾高山・尾池山・二児山・青田山)

奥茶臼山 オクチャウスヤマ 標 高 2474m 日本三百名山

山 域

南アルプス

 
二等三角点の山頂には日本300名山完登の記念プレートが下がっていた

 
乱伐され無残な姿を見せる山頂付近と登山口の立ち枯れたシラビソ林

 
林道終点までこんなに広い林道が続く


「気の場」分杭峠近くで中央構造線の断層が露出している

登 山 記 録
登山月日 2004年5月28日
登山経路 大鹿村R152青木林道入り口4:20〜10キロ標識6:55〜林道終点登山口7:40/8:00〜山頂9:40/10:10〜林道終点11:20〜青木林道入り口14:00
行動時間 登り5時間 下り3時間50分 合計9時間40分(休憩時間を含む)
天  候
メンバー 単独

情  報

アクセス 大鹿村中心からR152を地蔵峠方向に走り最初のヘアピンカーブが青木林道入り口である
トレイル 林道入り口〜13.4キロは広い林道歩き、終点からのトレイルは乱伐の荒れた道や苔むす小道で踏み跡薄い。
水場・トイレ 水は途中の沢水あるが小動物多く飲用は?トイレは伐採小屋にあるが当てにはならない。
その他 下山後は名湯・鹿塩温泉で汗を流す。

山行記

長野県上田市から静岡県浜松市まで延びるR152は中央構造線が走り、又遠州春野町にある秋葉神社参詣の秋葉街道として、その昔は旅人の往来が盛んであった古の道である。現在は天竜川沿いのR153に三遠南信の物流の主役を奪われてはいる。
中央構造線が放つ?「気の場」として最近注目を集めている、長谷村境の分杭峠を越えて大鹿村にはいると、名前の通り鹿の集団が闇夜に目を光らせて迎えてくれた。
大鹿村の中心を抜けて、地蔵峠に向かう空き地で仮眠をとる。
夜が明ける前に車を進める。地蔵峠の山道にかかる最初のヘアーピンカーブが青木林道のゲートになっている。早朝4時を回ったばかりだが、長い林道歩きを考えると、ザックに食料と水を十分入れて歩き始める。何しろ、林道終点までは13.5キロ、標高差1000mの長丁場で、どのようなペース配分で歩いたらよいものかと思案するのである。私の標準的な林道歩きのペースは1キロ13分である。1時間に4キロを歩いても3時間半掛かるので大体それを目標にする。
林道は車の通行が制限されているが崩壊地もなく、どうしてここを制限しているのだろうかと思うほどである。距離標識も0.5キロ毎にあって、ペースの確認にも大変役立つ。やはり登りのラップはキロ15分と言うところである。所々ショートカットできるが、それ程の距離短縮も出来ない。2カ所の大崩壊地も、のり面復旧工事と緑化工事が終わっていた。終点に近い12キロ地点から上は乱伐による自然破壊の爪痕がくっきりと残り、立ち枯れのシラビソが目立つようになる。そして草地化した林地には鹿の進入により更に環境が悪化し、裸地化した植林地には鹿除けのネットがしっかりとつけられていて、これが又この奥深い山の趣をそぐのであった。正に自然破壊のすさまじさを見る思いである。
13.4キロの標識が林道の終点であって、既に標高2000mを越えていた。
奥茶臼山への看板が下がる登山口で朝食をとる。ここまで3時間20分、休みなしで歩き続けた。
登山道に入るとすぐに前茶臼山分岐の標識が立っていたが前茶臼山に登る踏み後はなかった。
シラビソ林の登山道は苔むす小道で、踏み後も薄くこの山には入る人の数が分かると言う者だ。やがて又乱伐の爪痕地点を横切る。痛ましいばかりの自然がそこにある。どうしてこんな高所の急傾斜地の原生林を伐採したのだろうかと思う。
尾根道に登りついて、しばらくは鬱そうとした樹林地を歩く。ここにはまだ自然が残っていて安心だ。山頂直下の伐採跡の爪痕も又痛ましい限りで、ワイヤーロープやそのドラムが捨てられている。見たくもないものを見せられた思いで、その残骸を踏みしめながら最後の急登を超えると、僅かに残った原生林の中に二等三角点の山頂があった。
展望を期待して登りついた山頂は曇り空で何も見えない。長い林道を歩いて登山口からは1時間40分掛かって登りついた山頂であるが一つも感動がないのである。
昨年登った赤石岳を挟んだ甲州の笊が岳と対照してしまう。笊が岳も乱伐の手が伸びていたのであるが何とかくい止められていた。
1995年に日本300名山完登をこの山で果たした「白井満さん」の記念のプレートが木に下げられていたのだけが感動を呼んだ。
30分ほど休憩をとり、晴れるのを待つがその気配はない。乱伐により自然復旧の出来ないことに腹を立てながら往路を下った。林道は登りと違い、大きくショートカットを繰り返し距離短縮を図ることが出来た。
南アルプスの前衛の山として絶好の展望台であるはずの奥茶臼山には、期待を裏切られた悔しさが残る山として私の登山記憶に残ることであろう。
鹿塩の湯で汗を流し、中央構造線の露出した断層を眺めながら帰途についた。

 


尾高山 オタカヤマ 標 高 2212m 新花の百名山

山 域

南アルプス
登 山 記 録
登山月日 2008年10月3日
登山経路 しらびそ峠登山口7:40〜前尾高山8:20〜尾高山9:15/10:00〜登山口11:35
行動時間 登り 1時間35分 下り 1時間35分 合計 3時間55分(休憩時間を含む)
天  候
メンバー 単独

情  報

アクセス しらびそ峠までは舗装された遠山林道 500mほど上にしらびそ山荘ある
トレイル クッションの利いた登山道 良く整備されている
水場・トイレ トイレ水はしらびそ山荘で
その他 代表花はヤブレガサ

山行記


しらびそ峠の登山口とカモシカ特別調査区域の前尾高山付近

 
しらびその幼木の中の尾高山山頂と三角点

 
全山を覆う苔と苔むす倒木


山頂付近のビューポイントから見る奥茶臼山と荒川岳・赤石岳・大沢岳方面

三遠南信道の矢筈トンネルを抜けて旧上村に入り、R152から遠山林道に入る。蛇洞峠が工事中で大鹿村には今年いっぱい通行止めであった。
シラビソ高原にある保養施設「しらびそ山荘」まで舗装された林道を走る。一昨年夏、こちらから大沢岳を目指したときに林道でクマを目撃したものである。「今年も迎えに出てくれるかナー」と楽しみであったが、クマには遭わず、「しらびそ山荘」に到着した。早朝の冷気の中、日立製作所所属の女性ランナーがウッドチップのコースを黙々と走っていた。標高2000m近いここは長距離ランナーの高地トレーニングの場所としても知られているのである。
トイレを借りて暖かい缶入りコーヒーを飲みながら、眼前の大沢岳〜兎岳そして上河内岳〜光岳〜池口岳の南アルプス南部の稜線を眺める。全て歩いた道で懐かしさがこみ上げてくる。
花の名山、尾高山の登山口は「しらびそ山荘」から500m程林道を下った、しらびそ峠である。奥山にもかかわらず舗装された林道が延びていて訪れる観光客も結構多いのだろうか、観光案内看板が立てられていた。
看板脇から木製の階段を歩き樹林帯に入ってゆく。緩やかに延びる登山道は本当に歩きやすい。そこはかから鹿の鳴き声が聞こえる。私の進入を察して仲間にサインを送っているのかと思う。登山道脇の樹木には樹木名と「南信濃ウォーキング」と書かれた森林管理署の小さな看板がつけられていた。今日は少しも急ぐことはないゆっくりゆっくりと登る。40分で前尾高山についた。ここにはカモシカ特別調査・植生特別調査区域の看板が立てられていた。ここから緩く下ってシラビソやコメツガの原生林の中を行く。全山登山道以外は土が見えないほどの苔に覆われていて緑のジュウタンの中を行く趣である。
シラビソの幼木の中に初めて現れた巨石が尾高山の山頂であった。展望は利かないが少し切り開かれて休憩ポイントになっていた。ビューポイントの案内に導かれて歩を進めると、前方には奥茶臼山が見えた。そして左側には遠山谷を隔てて荒川岳から赤石岳そして大沢岳などが同定できる。代表花のヤブレガサを探すが探し当てることは出来なかった。1時間近く滞頂し往路をゆっくりと下った。

 


標高1918mに立つしらびそ山荘


近くには御池山隕石クレーターの遺跡も見られる

 


御池山 オイケヤマ 標 高 1905m 信州ふるさと120山

山 域

南アルプス前衛

登 山 記 録
登山月日 2013年8月13日
登山経路

シラビソ高原御池山登山口15:00〜御池山15:40〜登山口16:40

行動時間 登り 40分 下り 1時間 合計 1時間40分 (休憩時間を含む)
天  候
メンバー 単独

情  報

アクセス シラビソ高原まで観光道路が続く
トレイル 良く踏まれた遊歩道
水場・トイレ シラビソ高原のホテルで
その他 隕石クレーターの山

山行記


快適トレイルを歩いて隕石の山御池山山頂へ

シラビソ高原の「シラビソ山荘」から下栗の里に少し下った場所に大きな駐車場があり、御池山遊歩道の入り口があった。更にその先にも駐車場があり御池山に近いほうの場所に車を止めて尾根道に入った。尾根道は緩くアップダウンを3回ほど繰り返し岩場になった御池山山頂に続いていた。午後3時を回っていたがお盆休みに気軽に歩ける遊歩道にはまだ山登りを楽しむ観光客がたくさんいた。



南アルプスの絶好の展望台だ


二児山 フタゴヤマ 標 高 2243m 信州ふるさと120山

山 域

南アルプス前衛

登 山 記 録
登山月日 2013年8月13日
登山経路

大鹿村黒川牧場駐車場11:30〜二児山12:20〜登山口13:10

行動時間 登り 50分 下り 50分 合計 1時間40分 (休憩時間を含む)
天  候
メンバー 単独

情  報

アクセス 黒川牧場入り口までは舗装道路 牧場内は荒れた砂利道
トレイル 広く歩き易い 尾根にも登山道がある
水場・トイレ 登山口にはないが水は作業小屋付近で取れる
その他 黒川牧場最上部の駐車場は標高2000mを超える

山行記


黒川牧場最上部まで車が入れた・途中にあった林業作業小屋


山頂直下はシラビソの2次林を行く

大鹿村から分杭峠に向かい途中の黒川林道から黒川牧場に入る。牧場内の未舗装の荒れた道を終点まで入ると駐車場があり、標高2000mを超える二児山の登山口であった。「青いケシの花」の見られる大池高原は黒川牧場から更に下った先である。
登山口からは広い林道(車両通行不可能)が続いていて山中に延びていた。林道を上り詰めると林業の作業小屋か登山者の避難小屋にも思える立派な小屋が立っていた。小屋から先も林道跡が続き、最後はシラビソの若木の中を登りきると二児山山頂であった。刈払われた山頂には案内看板やベンチなども設置されていたが随分と古いものである。山頂の目の前は南アルプスの間ノ岳の展望が開けていた。
この山頂の真下は三峰川である。三峰川発電所工事で取水堰堤のある「風巻」で、18歳から1年半過ごしたことを思うと懐かしさで少し感傷的になるのであった。復路は往路を外れ尾根にきられた登山道を歩いたが塩見岳の展望は見ることは出来なかった。この山塊には2000m級の峰が連なっているのでいつかまた来たいと思っている。


二児山山頂からは間ノ岳が正面に見える


青田山 セイダヤマ 標 高 1707.7m 南信州の里山 山 域 南アルプス前衛    大鹿村
登 山 記 録
登山月日 2024年8月13日
登山経路 青田山林道入口11:10〜林道稜線分岐13:25〜青田山14:00/14:15〜林道14:45〜林道入口15:50
行動時間 登り 2時間50分 下り 1時間35分 合計 4時間40分 (休憩時間・ロスタイム含む) 
天 候
メンバー 親子二人連れ登山隊
情   報
アクセス R152から青田山林道入り口までは舗装された村道
トレイル 稜線分岐まで林道(今も供用されていると思われる)林道分岐からはシラビソ林の中赤布を追う
水場・トイレ 入山地点にも山中にも水場はない もちろんtoiletははない
その他 樹林帯には藪がない
山行記


青田山林道入口・青田山入山地点


藪のないシラビソ林を歩いて山頂へ










R152から分岐する青田山林道入り口に向かう道に入ると舗装道路ながら急勾配の道であった。それでも開けた傾斜地には民家も点在していて、標高1100mを超える舗装道路の終点付近まで民家があって驚きであった。舗装道路の終点が青田山林道入り口で、平場になっていて車を止めることができた。
林道は4駆の車であれば十分走れる路面状態であって、今も供用されているようである。実際支度をしている間にジムニーが1台林道に入って行った。林道は当初は美しいい赤松林の中を行くが徐々に樹相が変わってゆくのも楽しもである。約一月ぶりの登山と腰痛再発で休憩をはさみながらゆっくりと登り、約5キロの林道を2時間以上もかかってしまった。
青田山への入口は大きく切り開かれていたがすぐに道はなくなり赤布を追うようになった。少し道迷いしたが強引に稜線に上がるとシラビソ林の下に赤布が導いていた。前衛のピークを越えて登り返すと青田山山頂であって三等三角点のわきの樹木にこの付近の山でよく見る山名板が括り付けられてあった。山頂の一角が切り開かれていて、鳥倉山などの展望が開けていたが、樹林の中の山頂であった。軽食とりながら15分ほど休憩し山を後にした。下山は前衛のピークの鞍部から直接林道に下り、林道もショートカットを繰り返しながら時間短縮して駐車地点に戻った。

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