日本二百名山 笈ヶ岳 オイヅルガタケ 標 高 1841m

山 域

北陸・両白山山地
登 山 記 録
登山月日 2003年4月27日
登山経路 白山自然保護センター4:45〜野猿公園5:10〜(ジライ谷)〜ジライ谷尾根上部6:50〜冬瓜山分岐〜冬瓜平8:30〜シリタカ山9:40〜鞍部〜主稜線10:20〜笈ヶ岳山頂10:50/11:20〜シリタカ山12:30〜冬瓜平14;10〜ジライ谷尾根上部14:40〜野猿公園16:10〜自然保護センター16:30
行動時間 登り6時間05分 下り5時間10分 合計11時間45分(休憩時間含む)
天  候
メンバー 立木青年と二人

情  報

アクセス 白山スーパー林道 白山自然保護センターから 白山スーパー林道は例年5月連休に合わせて自然保護センターまで開通する。
トレイル ジライ谷から上は厳しいのぼりが続き尾根道はまだ踏み跡薄い。冬瓜山分岐からは残雪歩きとなる
水場・トイレ ジライ谷の徒渉点にある
その他 長野マラソンの疲労残りにより随分と時間を要した
山行記


シリタカ山から見る笈ヶ岳


ブナの森冬瓜平から笈ヶ岳を望む

日本300名山を目指すものにとって笈ヶ岳は毛勝山と並んでハードルの高い山として語られている。夏道が無く残雪の限られた時期に長距離の縦走をしなければたどり着くことが出来ないからである。通常は白山スーパー林道の馬狩ゲートから三方岩岳に登り仙人窟岳を経由するか、石川県吉野谷村の中宮からブナオ山・冬瓜山(カモウリヤマ)を経由しての縦走コースが一般的で、何れも山中1泊をしなければならない。しかしネットで検索をしてみると白山自然保護センターから自然遊歩道をジライ谷に進みそこから登れば12時間前後で日帰りできるという情報を得て、山のエキスパートであるT青年とはるばるやってきたのである。T青年とは昨年あの毛勝山で感動を共にした山仲間である。
自然保護センターで夜の明けるのを待つ。4時半前に起き出して支度を始めていると地元の山岳会のものと思はれる10人パーティが車で乗り付けてやはり笈ヶ岳を目指すようである。

4時45分やっと明るくなった登山道に入る。野猿公園までは白山スーパー林道を対岸に見ながら20分ばかりの行程である。ジライ谷の水量は昨日の雨で増水していたが徒渉に影響するほどでもなく渉ることが出来た。
ジライ谷からのトレイルは登山道と言うにはほど遠いもので、木の根、岩にしがみつきながら一気に直登しなければならない。それでも要所要所にはロープや針金が設置されていて危険はない。このような登山道こそが奥深い笈ヶ岳へのプロローグとしては真にふさわしく感じるのだ。ジライ谷を隔てた尾根を見ながら高度を確認するのであるが吹き出した汗がしたたり落ちる。それでも登る時の気合いはいつもの通り、大きく息を弾ませながら大岩を超えて冬瓜山の見える稜線まで1時間半ほどもがいて登り切った。ここからは残雪が残り、アイゼンを装着する。天気は絶好のコンデションで雲一つない。
朝の腹ごしらえをしっかりしなかったせいか、ここから冬瓜山までの稜線歩きではとうとう後続の地元パーティに追い抜かれる。どうやらシャリ切れによるスタミナ切れのようだ。冬瓜山直下に到着する頃には完全にグロッキーになり、今日の登山をあきらめなければと思うほどであった。しかしT青年の励ましとサポートに徐々に落ち着き始める。冬瓜山頂上はナイフリッジになっていると言うことで巻き道の冬瓜平をトラバースする。これも体調回復に良かったようだ。
冬瓜平はまだ3m位の雪が残り、ブナの巨木がしっとりとした佇まいを見せていて、手付かずの自然の素晴らしさを実感する。前方にはようやく目指す笈ヶ岳が見えてきた。沢筋には雪崩た場所も2ヶ所有り息を止めて突破する。シリタカ山へ登り返すと笈が岳が目の前で圧倒される。一旦鞍部に下り、三方岩岳に延びる稜線目指す。200mほどの標高差であるが、最後の登りは毛勝山に似た勾配であった。稜線直下の藪を越えて飛び出せば、眼前には大パノラマが開けていた。
一息入れた後、山頂までの30分はまさに稜線漫歩。10時50分、6時間掛けて難関笈ヶ岳の山頂に立つことが出来、またもや感激の涙がこぼれるのであった。途中体調不安が発生し、あきらめ掛けたのに良くこらえることが出来たものである。T青年には本当に感謝しなければならない。私ひとりでは到底たどり着くことの出来ない山である。
この山域は少ない登山実績なので山座同定はまだ出来ないが、白山・大日ヶ岳・大笠山・人形山などが見える。まだまだ登らなければならない山がたくさんあってこれからが楽しみだ。山頂には先に到着したジライ谷からのパーティや大笠山から縦走してきた登山者など20人位で大賑わいである。
富山県側の桂湖から前笈ヶ岳に登り避難小屋で1泊し、今日ここまで6時間かけてきたと言う、大笠山からの縦走者はジライ谷からの日帰り登山を知り、「くやしー」と嘆いていた。このコースは更に山中1泊しなければならないようだ。当初計画していた三方岩岳への稜線を目で追えば、仙人窟岳を越えて遥かな先に見えるのであった。どこから来ても苦労をする山なのである。
帰りの長丁場を考えると長居は無用、30分の山頂スティで往路を戻ることにする。シリタカ山、冬瓜平では再び来ることは無いであろう笈が岳に何度も別れを告げた。冬瓜平では中宮からブナオ山を経由して、ここにキャンプするという4人組に合う。やはりジライ谷からの日帰りコースを知るや「そんなコースがあったのか、ここまで重い荷物を背負って4時間も掛かった、悔しいー」と嘆かれるのであった。しかしこの美しい自然の中で楽しい一夜をキャンプする者を羨ましく思うのであった。
ジライ谷への下りは腰と足が痛み殆ど力の出せない状態であったが、何とかこらえて16時半、11時間45分の長い行動時間の末に白山自然保護センターに帰り着くことが出来た。


笈ガ岳山頂

 

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