北海道の一等三角点峰・高度順百位以内
(芽室岳・音更山・武利岳)

芽室岳 メムロダケ 標 高 1753.6m 一等三角点高度順66位

山 域

日高山脈
登 山 記 録
登山月日 2006年8月11日
登山経路 清水町・円山牧場から先の「山小屋・芽室岳」登山口7:00〜西峰分岐9:50/10:00〜芽室岳山頂10:25/11:00〜登山口12:50
行動時間 登り3時間25分 下り1時間50分 合計(休憩時間を含む)
天  候 霧雨
メンバー 単独

情  報

アクセス 清水町円山牧場から先は未舗装であるが荒れていない
トレイル 尾根に切られた一本調子の登山道であるが藪やハイマツが被さり煩い
水場・トイレ 登山口の小屋に両方ともある
その他 ヒグマの恐怖が先に立つ

山行記


芽室岳の一等三角点と山頂標識


山麓は広大な演習牧場になっている

清水町の山麓の開拓地旭山のコミュニティセンターで許可を得て車中泊する。
好天続きの北海道山旅も今朝は日高山脈の懐に入って怪しいものになった。夜露・朝露がひどく、外は霧の中で、視界も50mくらいしかない。ヘッドライトをつけて芽室岳への登山口に向かう。カーナビもそこまでは不案内であるから、目標の円山牧場目指し、ゲート前につけると「放牧牛の脱走防止のためゲートの入出時は必ずゲートを閉めておいてください」の看板がかけられていた。しかし芽室岳登山口の案内はどこにも見当たらない。広大な牧場内を何回かゲートを潜りながら適当に山麓に車を進めて行く。
ようやく「芽室岳登山口へ」の看板を見つけ、案内に従う。牧場の先に伸びる細い林道に入るがそれほど荒れた道でもなく「山小屋・芽室岳」の建つ登山口に到着した。「誰もいない、いる訳がない」
外は相変わらずの深き霧の中である。今にもヒグマが出てきそうな不気味な登山口であるが、ここでやめる訳には行かない。重い気持ちを奮い立たせ、小屋の前を流れる小川を渡って登山道に入る。200mも進むと登山道に藪が被さり雨着を付ける。そして半分藪漕ぎ状態になりながら滑りやすい登山道を登る。霧にぬれた笹を掻き分けるのであるから雨着を滲みた水であっという間に着衣は濡れてしまうのである。
霧の中、稜線と思しき道に出ても登山道は同じ状態が続く。西峰分岐に着くころには、もう全身ずぶぬれになっていた。
分岐には案内がないため、しばらく西峰方向に向かってしまいあわてて引き返す。分岐から一旦少し下りハイマツ帯となって、これも煩わしい藪漕ぎを続け、分岐から30分ほどで一等三角点の山頂に立つことが出来た。
山頂からは何も見えない。ずぶ群れになった着衣を脱いで水を絞る。しかしやぶ蚊が煩くて悲鳴を上げる。
小食を取りながら30分ほど休憩する。時たま霧が薄くなり周囲が明るくなるが霧が晴れる様子がない。諦めて山頂を後にする。
下りは急ぎ足にはちょうどよい勾配の登山道であって登りの半分くらいで登山口に戻ることが出来たが、途中から本格的な雨になり、登山口では体が冷えるほど濡れてしまっていた。
誰もいない山小屋で着衣を全部着替え、さっぱりとした体で円山牧場に戻る。牧場の大きさに目を見張りながら清水町の中心部に車を進めた。
そしてコインランドリーで洗濯をした。

 


音更山 オトフケヤマ 標 高 1931.9m 一等三角点高度順44位

山 域

東大雪
登 山 記 録
登山月日 2006年8月23日
登山経路 シュナイダーコース登山口8:00〜稜線分岐11:00〜音更山11:45/12:00〜(休憩12:15/12:45)〜稜線分岐13:10〜登山口15:10
行動時間 登り3時間45分 下り2時間30分 合計7時間10分(休憩時間を含む)
天  候 霧雨
メンバー 石狩岳目指す新潟県の長谷川さんと二人

情  報

アクセス 十勝三股からの音更林道は路肩決壊箇所もあり少し荒れてきた
トレイル シュナイダーコースは急坂ではあるがそれほど長い距離ではない
取り付きのアプローチが出水時には注意が必要
水場・トイレ 水場はなし トイレは登山口にある
その他 山頂付近は見事なお花畑

山行記


霧の山頂にて


山頂付近と夏の名残のコマクサが

層雲峡を出るときには雨がしとしとと降っていて、今日は登山は無理かなと思いながらも大雪ダムの先ユニ石狩川沿いにあるユニ石狩岳登山口に向かう。
大雪ダム手前を三国峠への道に入り、しばらくするとユニ石狩岳登山口はすぐそこであった。林道に入ると200mも行かないうちにゲートがある。ほろしり氏から鍵の番号は聞いていたので少しも心配はないのであり、番号を合わせると鍵は開いた。しかし雨足は少しも衰えないし、5日前に降った大雨の後遺症もあり、ユニ石狩川はすでに赤茶けた水色に変わっていた。
ゲートの前で簡単な朝食を頬張りながら一思案する。ガイドブックにはこちらからの登山道には確か徒渉が有ると書いてあったようだ。
こちらからユニ石狩岳経由で音更山を目指すのは諦めて3年前に石狩岳を登ったシュナイダーコースに変更しようと決断する。雨足はいよいよ強まり絶望感が募るが三国峠を越えて上士幌町に入り音更川林道入り口の十勝三股まできた。ここからは勝手知った音更林道に車を入れてどんどん先を急ぐ。やはり5日前の豪雨の爪痕が残り、流れる水は赤茶けている。シュナイダーコースの登山口に着くころには雨足も衰えていた。
登山口に着けば、雨が降ろうが槍が降ろうが、もう登山を止める理由がなくなるのである。八割がたは登山を済ませたようなものである。
小雨の中、支度を整え出発しようとすると後続の車が到着した。見ると新潟ナンバー車である。
話しかけるとなんと昨日カムエクを登り15時間近くを歩いたという、私より少し年齢が上の方で、登山用具も私のものよりは数段良いものを持った登山者である。二百名山を目指していて「今日は雨だから石狩岳の登山口を見にきただけだ」と言う。私はヒグマも怖いから「どうですかご一緒に、私はこのコースは2度目ですから」とうまく誘う。そして「そうしましょう支度しますから少し待ってね」とついに私と雨のシュナイダーコースを稜線分岐まで同行を引き受けてくれるのであった。
登山口の小さな祠に「ヒクマと遭遇しないよう」にお祈りして登山道に入る。そしてしばらくは二十一の沢の河畔林の中を呼子を煩いほど吹きながら進む。心配した二十一の沢の徒渉も問題はなかった。最も私はどうせ登山靴を履いても30分もしたらずぶ濡れになるのでゴム長靴登山である。
「登山は格好ではない、実用的な支度こそ一番」と自認しているからだ。
徒渉を終えてもしばらくは河畔林の中を行く。やがて樹林帯の中の急坂の登山道になる。そして派生する尾根道に登りきると名高いシュナイダーコースの急登が続く。H氏と山談義をしながら登る。昨日の疲れを微塵も感じさせないH氏には驚きである。最も私も昨日は大雪山の黒岳から白雲岳までピストンし10時間近い歩行の後であってペースは余り上がっていないのかもしれない。二人ともこの歳になって元気に山登りが出来ることを喜び合うのである。
一度経験したことのあるコースは難路では有っても心配することは少ない。「かくれんぼ岩」や天気がよければニペソツ山が見えるという「ニペ見の岩」などを乗り越えてハイマツ帯に出ると稜線には少しの時間で登りつくことが出来た。登山口からは3時間ジャストであった。
ここでH氏は石狩岳に向かい私は音更山に向かう。雨は降っていないが霧の中である。ハイマツ帯を超えて巨石が積みあがった山頂稜線を進み音更山に立つことが出来た。ここも霧の山頂だが少し明るい。しばらくすると石狩岳やユニ石狩岳が霧の中にシルエットを映し出し歓声を上げる。しかしカメラに収める時間もない。「ユニ石狩岳を踏めばよかったなー」と叶わぬ思いが心をよぎる。
分岐で待つ、H氏との時間も迫り山頂を後にする。
登りは「早く山頂へ」の思いが強く、周りを観察できないのであるが、下りには周囲を見る余裕も出来て、砂礫地に咲くコマクサなどを見つけカメラに収めることが出来た。
分岐で待っているはずのH氏が分岐を通り過ぎて途中まで来て遭遇する。苦笑いのH氏とここで昼食休憩とする。展望が利かない中でもお互い大きな山を制して満足顔である。
急坂を転げ落ちないように慎重に下り、登りは3時間かかった稜線からのシュナイダーコースを2時間ジャストで登山口の戻った。
H氏とはこれからのご健闘を誓い合いお別れした。
1週間前に入った糠平温泉湯元館の名物露天風呂で冷えた体を温め、濡れたものを洗濯して次の目的地武利だけへの登山口近くの留辺蕊町へと車を走らせた。


武利岳 ムリイダケ 標 高 1876.1m 一等三角点高度順54位

山 域

北大雪
登 山 記 録
登山月日 2006年8月24日
登山経路 下の沢林道路肩決壊場所6:40〜林道〜登山道入口7:45〜六合目9:20〜山頂10:30/11:00〜六合目12:00〜登山道入口12:50〜駐車場所13:30
行動時間 登り3時間50分 下り2時間30分 合計6時間50分(休憩時間を含む)
天  候 晴・曇
メンバー 単独

情  報

アクセス 留辺蕊町厚和から丸瀬布町に抜ける大規模林道を走り、武利岳登山口の案内看板がある途中から左折する。(丸瀬布に抜ける道は途中から通行止めになっていた)
登山口に伸びる林道は途中で大きな穴が開いていて通行不能になっていた。これが復旧しても登山道入り口までは荒れたダートの道で入ることが難しい。
トレイル 四合目くらいまでは樹林帯を歩く。五合目から先は急坂が続き、八合目からは岩稜の厳しい稜線伝いとなる。風が強いと転落に注意が必要だ。
水場・トイレ 水場は林道途中に看板あるが未確認 トイレはなし
その他 山頂付近はアルペンムードが漂う。

山行記


丸瀬布町山麓からと八合目から見る武利岳


山頂への道


九合目から先は両端が切れ落ちた厳しい岩場の稜線歩きだ


一等三角点高度順百座を全山登頂達成し万歳!万歳!万歳!


山頂付近はアルペンムードがたっぷりと漂う

留辺蕊町の道の駅で休んだ後、北見街道を厚和まで戻り、丸瀬布町に抜ける大規模林道を走る。
丸瀬布町に接する峠を越えると目指す武利岳らしき特徴ある山が見えてきた。車を停めてカメラに収める。
大規模林道を進むと武利岳登山口の看板があり、登山口まで5.4キロとなっていた。細くなった林道に入り更に2キロも進むと林道は二股になり、登山口は右側に案内される。ガイドブックを見ると登山口から、登り3時間・往復5時間コースであり、今度の北海道山行も最後の山で余裕の登山が出来るものと思っていた。
枝線に入った林道を1キロほど進むと道路に大きな穴が開いていて通行不能になっていた。先日の大雨により、コルゲートパイプの脇を水が走り、周りを洗掘したらしい。車を降りて見ると、うまくやれば通行可能であるが帰りに更に穴が大きくなっている可能性もあり、結局は安全重視で100mほど後方の路肩に駐車し、ここから歩くことにする。
「登山口まではどのくらいあるのだろうか」と思うと先ほどの余裕もいっぺんに吹き飛ぶのであった。
林道を歩き始めて15分もすると荒れたダートの道になり、「車を置いてきたことがよかったかなー」と思うようになる。更に進むとひどい荒れようでとても車が進入できる道ではなくなった。林道終点1キロほど手前に小さな鳥居があり、ここが登山口なのかと思うが看板はなかった。
林道終点が一合目になっていて本格的登山道の始まりである。
三合目辺りから尾根道となり少し展望が開けてくる。五合目から一気に急坂を登りきると山頂に続く稜線が目に飛び込む。ここで一息入れる。
八合目に来るとアルペンムードが漂う山頂付近が目の前だ。
ハイマツの中、岩場をよじ登って、山頂かと思う稜線に立つ。しかしそこは九合目であって山頂までは両端が切れ落ちたナイフリッジの岩場を10分ほど歩かなければならない。緊張しながらスリリングな岩場を行く。
稜線の最高点が武利岳山頂になっていた。北海道の山の中でも指折りの高度感ある山頂である。
この夏の北海道山行の掉尾を飾るにふさわしい山頂である。
これにて一等三角点高度順百座は全山登頂達成、一人で大声上げて北大雪の山々にこだませよと万歳三唱するのであった。
慎重に九合目・八合目まで下る。そして四合目からは走るように下って駐車場所に戻る。
汗だくになった体を近くの小川で行水して清める。かくして北海道の目標山座は全山完了し意気揚々と引き上げたのである。

層雲峡に来て空いたお腹を満たし、道央方面に車を走らせていると友から電話が入る。
道央道を疾駆して長沼町の友人宅で、旧交を温めるとともに北海道山行の満願成就の祝杯を上げることが出来たのである。

その友人は酒井伝祐氏である。

 

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