南アルプス南部の二百・三百名山
(上河内岳・茶臼岳・光岳)

上河内岳 カミゴウチダケ 標 高 2803m 日本二百名山

山 域

南アルプス

茶臼岳 チャウスダケ 標 高 2604m 日本三百名山

山 域

南アルプス
易老岳 イロウダケ 標 高 2354m -

山 域

南アルプス
光岳 テカリダケ 標 高 2591m 日本百名山

山 域

南アルプス
イザルガ岳 イザルガダケ 標 高 2540m -

山 域

南アルプス
登 山 記 録
登山月日 2013年8月14日〜8月16日
登山経路

第一日目
便ヶ島6:30〜西沢渡7:10〜苔ヶ平10:20〜薊畑12:05〜聖平12:30
第二日目
聖平5:20〜南岳〜上河内岳8:00/8:30〜茶臼岳10:00〜易老岳12:25/12:35〜光岳小屋テント場14:50
第三日
光岳小屋5:50〜光岳6:10〜光岳小屋6:30/6:45〜イザルが岳7:10〜易老岳9:25〜易老渡12:55〜便ヶ島13:30

行動時間 第一日目6時間 第二日目9時間30分 第三日目7時間40分 合計23時間10分(休憩時間を含む)
天  候 第一日目晴 第二日目晴/雷雨 第三日目晴
メンバー 親子二人連れ登山隊

情  報

アクセス 便ヶ島までは時間制限あるが車で入れた。便ヶ島までの林道は良く整備されていた。
トレイル 急坂連続するも良く踏まれた百名山の登山道
水場・トイレ トイレは各山小屋にあり水場も随所にある
その他 コレにて南アルプス主峰も複数登頂

山行記

第一日目


西沢渡を渡り急坂を凌ぐ


聖平の中間点苔平付近で


薊畑まで登りあげて一息つく


薊畑から聖平のキャンプ場にテントを張る

前日シラビソ高原から下栗の里に回り便ヶ島に入ろうとしたが、下栗の里で勘違いしてR152に下ってしまった。慌てて戻り吹き付けの裏面にクラックが見つかったので通行規制されていたが、何とか規制時間内に通行できたのは幸いだった。昨年は年間を通じて入山できなかったのでこの周辺の山々のもろさを実感させられるというものであった。登山口の便ヶ島に到着し聖光小屋で車中泊の申し込みをすると一人500円であった。広い駐車場のベンチでムスコと2人ビールやお酒を飲みながら前夜祭である。車の中に入って休んだが暑さでとても眠られない夜であった。

今日の行程は聖平のテント場までの6時間コースであるから慌てることもなく、6時半の出発となった。1時間足らずで西沢渡の徒渉点に付き西沢を渡る。今は索道のカーゴに乗るより小さな橋がかけられていてこちらを渡るほうがずーと楽である。渡り終えるとすぐ上に林業の作業小屋がある。そしていよいよ急登が始まるのである。
ここは3回目であるがやはり気の抜けない急坂をあえぎながら上る。30分に一回しっかりは休憩しながらだ。急坂を上るよりは急斜面のトラバースのほうが気が抜けないかもしれない。滑落防止用のロープや柵も随所の設けられていた。やがて尾根道になって少しは傾斜も緩み苔平に着く。薊畑までの中間点ともいえるここで大休止である。その後も気を緩めず倒木帯を進み西沢三角点等を通過して薊畑に登りついた。昨年赤石岳〜聖岳を縦走しここに下っているので2年連続の薊畑である。しばし休憩の後お花畑の中を聖平に下った。
私はもうここに4回目のキャンプで、トイレも綺麗だしとても気に入ったキャンプ場である。担ぎ上げたビールを沢水で冷やし、粗末ながらもムスコと一年に一度のキャンプを楽しむのであった。

第二日目


(左)霧の中の聖平を出る (右)南岳付近まで登ると聖岳の展望が開ける


樹林帯を抜けてハイマツ帯の中を行く


10年ぶりの上河内岳と二重山稜の中のお花畑

テント場の朝は早い、34時前には起きて簡単な朝食を取り、テント徹宵してパッキングを済ませると6時前には聖平を立つことが出来た。縦走するものより静岡側の椹島に下る登山者はまだ出発するものが少ない時間であった。聖平の木道を歩き、樹林帯に入って上河内岳を目指す。入山2日目やはりピッチが上がらないのである。ムスコを先にやり私はしっかりと自分のペースで登る。樹林帯を抜けるとハイマツ帯となり振り替えると聖岳が大きく羽ばたいている。最初の休憩ポイントは南岳であり、先行者が休んでいた。上河内岳も目の前に見えている。聖岳をカメラに収めて上河内岳に向かい沢筋を登りあげると上河内岳への分岐であった。ここにザックを置いてカメラだけ持って15分ほどで上河内岳に登りつく。聖岳の右側に赤石岳や悪沢岳がよく見えた。分岐の戻って茶臼岳への縦走路に入る。上河内岳を下りきると二重山稜となり、平坦なお花畑が広がっていたが花の種類はそれほどではなかった。お花畑でも一息入れた後縦走路を進み、茶臼小屋のある横窪沢への道を分けると茶臼岳への登りとなって、岩場を過ぎると茶臼岳山頂であった。茶臼岳は今日の行程光岳までの中間点というところであるがここから見る光だけ方面はまだまだずーと遠くに見える。


茶臼岳とその山頂


茶臼岳山頂で一息入れる


易老渡からの道が合わさる易老岳と光小屋まであと少しの静高平

茶臼岳を下り次の目標は仁田岳である。茶臼岳を大きく下って仁田岳分岐に着く。ザックをデポして仁田岳を目指しているものが多いが2私は仁田岳は11年前に登頂済みであるからここはパスする。仁田岳からも大きく下って小さなピークを幾つか越えて易老渡からの道が合わさる易老岳には正午過ぎの到着となった。簡単な昼食を取りながら休憩した。既に6時間以上歩き続けているので疲労も感じる頃であるが、「光岳テント場まで後2時間半、頑張ろう」と檄を飛ばして縦走路に入る。易老岳を下って三吉平などを過ぎ1時間ほど歩いて休憩した。三吉平を過ぎると登山道は沢筋に入り涸れた沢の中の急坂を登るようになる。ここを登っている間に雷が鳴り始め雨が降ってきた。本降りになる前に雨合羽を着て雨傘も用意する。パラパラときた雨はすぐに上がったが、雷鳴は轟いている。涸れた沢を登りきると静高平であって「小屋泊まり・テント泊の方はここで水を補給してきてください」と書かれた看板の立つ水場があったが二箇所の水場は涸れていた。草原状になった登山道を進み木道が続くゼンジが原につく頃にはとうとう本降りの雨になってしまった。ムスコははるか先に行っていたので、心配なかったが私は傘差しながらゼンジが原から樹林帯を抜けて光小屋に逃げ込んだ。ムスコは雨に濡れることもなく小屋に駆け込んでいたが私は少し濡れてしまった。
小屋でテント泊の手続きを済ませると雨が上がるまで小屋の中で雨宿りさせてくれて嬉しかった。雨の止み間に小屋前のテント場にテントを張った。水は小屋で分けてくれてとてもありがたかった。今日も粗末ではあるがビールとお酒を飲んで少し良い機嫌になり、夕食はレトルトのすき焼き丼を食べてシュラフにもぐりこんだ。

第三日目


光岳山頂と山頂の奥から見る池口岳方面


南アルプス深南部と光小屋


光岳小屋に続く木道とイザルヶ岳山頂

 
上河内・茶臼岳方面 (イザルが岳から) 朝登った光岳

夜も雨が降り続いたが朝になるとすっきりと晴れ渡っていた。小屋の前でご来光を見に小屋どまりの登山者がにぎやかである。そして雨上がりの光岳を目指す登山者を見ながら朝食を取り、テントを撤収し帰り支度を整えた後、私達も光岳を目指した。11年前ムスコと2人できたときは残雪の中の光岳であったが、今日は樹林帯のをくぐって20分ほどで山頂に到着した。既に先発の登山者は下った後で静かな光岳山頂であった。山頂後方の展望台に回ると光岳から続く加賀森山〜池口岳〜中の尾根山〜不動岳等の南アルプス深南部の山々が連なっているのが見えて懐かしいばかりである。しばし見とれていつか又あの尾根へとの思いを残して光岳山頂を後にした。小屋のテント場に戻りザックを担いで7時前にはテント場を後にすることが出来た。ゼンジが原の木道を歩き、15分で登れる光岳の兄弟峰イザルが岳回る。昨日歩いた上河内岳〜茶臼岳方面や朝登った光岳が目の前に見る絶好の展望台であった。ゼンジが原に戻って昨日てこずった石ころの涸れ沢を下り三吉平〜易老岳に登り返して休憩を取った。易老渡への急坂に掛かると息子の足が遅くなり何回か後ろ振り向きながらの下山となるが、途中から「先に下りて便ヶ島まで行って車を回収するので先に下る」と言って単独で一足先に下った。易老渡のつり橋に下った後は、ザックをデポして空身で便ヶ島までの林道を40分ほど歩いて便ヶ島の駐車場に着いた。車の脇で着替えを済ませ、易老渡に戻るとムスコが下りついて一息入れているところであった。
沢水で汗を拭い仙丈ケ岳から光岳まで6日間かけて縦走したという岐阜県から来た登山者を乗せ、下栗の里〜シラビソ高原〜大鹿村〜分杭峠〜長谷村〜仙流荘と走って送り届けた。
茅野市内で遅い昼食をとって白樺湖から自宅まで戻った。

2013年「親子二人連れ登山隊」の南アルプス南部縦走は無事完結したのであります。


便ヶ島に咲いていた


日本二百名山 上河内岳 カミゴウチダケ 標 高 2803m

山 域

南アルプス
日本三百名山 茶臼岳 チャウスダケ 標 高 2604m

山 域

南アルプス
登 山 記 録
登山月日 2002年5月20日〜21日
登山経路 5/20 易老渡7:25〜易老岳12:00/12:30〜仁田岳14:30/15:25〜茶臼岳16:15〜茶臼小屋16:40(泊)
5/21 茶臼小屋6:00〜上河内岳8:10/9:10〜聖平11:10/11:40〜薊畑12:00〜西沢渡14:30〜便ガ島15:15〜易老渡15:40
行動時間 1日目9時間15分 2日目9時間40分 合計19時間(休憩時間含む)
天  候 1日目晴 2日目晴
メンバー 単独

情  報

アクセス 易老渡間では良く整備されている
トレイル 急坂を上り、きつい縦走路が続く
水場・トイレ 茶臼小屋・聖平小屋にある
その他  
山行記


仁田岳から上河内(左)・茶臼岳(右)

易老渡の駐車場にはいたずら狐がいるというから注意である。車のドア-を開けて仕度している間に車に入りこみ、食料を失敬して行くのだそうだ。私もドアを開け放しにして仕度をしたり、水を用意したりの無用心な準備時間を持ったが被害には合わなかったのは幸いであったのだろうか。
ここは昨年光岳を登った道でありそんなに気にはしていない急登で有る。
京都・浜松NOの車が停まっているので先発がいることに安心する。遠山川にかかる橋を渡って最初からの急登は覚悟の通りであるが、一人旅で背負い込むザックは20キロ近くになり肩に食い込み足が上がらないのである。30分おきに休憩を挟み、更にポカリで喉を潤しながら喘ぎ喘ぎ急登をよじる。昨年は雪の下で確認できなかった2254mの三角点を過ぎると易老岳は間近だ。
12時一寸前に易老岳に到着して、昼食は稜線を少し下った見晴らしの良い場所でとる。こんな高い所に一人で来たのは始めてで、いつも一緒であった息子との色々な思い出が頭を過ぎるのであるが、感傷に咽ぶわけには行かないのである。
.稜線歩きは快適そのもので重い荷物もあまり苦にはならない。仁田岳分岐に着くと目指す茶臼岳・上河内岳がくっきりと姿を現す。.
カメラを持って仁田岳に向かう。山の天気は移ろいやすく、いつまでもその景色を保ってはくれないのである。茶臼・上河内岳の写真をとって茶臼岳に向かうが案の定茶臼岳にかかるころにはガスが巻きはじじめて視界が悪くなる。
茶臼岳直下でキツネと遭遇する。ガスのかかった登山道をこちらに向かって小走りに走ってくる、何の警戒もしないのであるがこちらを見つけるや踵を返して、這い松の間に姿を消した。良く観察すると、こちらを見ているのである。餌をねだっているのであろうか。
茶臼岳山頂はガスが掛かり何も見えない状態で、山頂写真をとるのも諦めて、茶臼小屋に向かう。稜線を15分歩いて雪渓の残る道を300m下って茶臼小屋に到着した。小屋には南アルプスのとりこになったという京都からの同年輩の方が一人休んでいた。
山談義も長くは続かずに、7時には疲れた体を寝袋に忍ばせると、ぐっすりと寝こむのであった。寒さに2回ほど目を覚ます夜であった。

4時を回ると薄明るくなり、京都の同年輩氏は5時には上河内岳・薊畑を回って便ガ島に下るといって先に出かけていった。私は一人朝食をとり、パッキングをして小屋の片付けを済ますと6時過ぎの出発となった。
100m程の雪渓を登り返し尾根に出ると一思案。上河内岳に空身で登り易老岳に引き返すか、重い荷物を背負って上河内岳に回り聖平を経て便りガ島に下るか。頭の中で所要時間をはじきながら思案の挙句、上河内岳にザックを背負って向かうことにする。
アップダウンを繰り返し、雪渓歩きで時間を費やしながら2時間30分コースを2時間で上河内岳に到着した。上空は真っ青に晴れ渡っているのであるが、聖岳や赤石岳・荒川岳方面はなかなかきれいに雲がとれない。時間はたっぷりあるので雲がとれるまで待とうと決めて強風の上河内岳に一人だけで1時間のスティをきめこむ。
何枚かの写真をとるもきれいに晴れ渡ることはない。満足な景色は撮れないので名残を惜しみつつ上河内岳を後にする。
残雪に足を取られながら聖平に下り、昼食をとる。
2年前に来た聖平小屋が無人のまま静かに佇んでいるのを見ると感慨一入であり、自然と涙が込み上げてくるのであった。薊畑に登り返し聖岳のとてつもないデカサに圧倒されながら、西沢渡への急坂を2時間半掛けて下った。
西沢渡の索道は以前のままで、荷物と一緒に川を渡った。便ガ島からの林道は手入れが入って、橋や崩壊地の修復が進んでいた。便りガ島は登山基地の再整備が始まりロッジが再建されるそうで工事が進んでいた。
更に30分も下ると易老渡の駐車場に戻ることが出来た。
強行軍の一人山行であったが一皮むけたたと思える上河内岳・茶臼岳であった。


標識も新しい上河内岳山頂


上河内岳から見る赤石岳・悪沢岳

 

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