朝日連峰北部の山(摩耶山・以東岳・化穴山)

摩耶山 マヤサン 標 高 1020m 日本三百名山

山 域

朝日連峰

 

登 山 記 録
登山月日 2004年5月16日
登山経路 温海町関山〜林道終点14:05〜避難小屋〜山頂15:35/15:45〜登山口16:45
行動時間 登り1時間30分 下り1時間 合計2時間40分(休憩時間を含む)
天  候
メンバー 単独

情  報

アクセス R7新潟・山形県境の鼠が関からR345で関川へ、林道を5キロ走る
トレイル 緩やかな尾根道を歩く
水場・トイレ なし
その他 登山口は山菜の宝庫

山行記

R7新潟と山形県境の鼠ヶ関を山側に入る。歴史の舞台(戊辰の役)ともなった、山間の集落関川には20分も走ると着く。「摩耶山関川登山口」の大きな看板が立てられた林道に入る。雨脚が強くなり終点まで入れるだろうかと心配になるが、そこはブナの林の中で少しの雨では問題ない。
終点に着くと地元の方が山菜取りに来ていて、これから3時間の往復コースをアドバイスしてくれる。
ここも雨着をつけ、ゴム長靴を履いて出発する。
名も知れぬ、三角点の小ピークを踏んで、摩耶山に延びる尾根道を進む。ぶなの林の適度な傾斜の尾根道は、「晴れた日には本当に気持ちがよいだろうな」と思いながら先を急ぐ。やがて鼻くくり坂などと名つけられた岩場を、木の根につかまりながらよじ登る。六体地蔵を見れば山頂はすぐそこである。
雨は上がったが、展望の利かない山頂には登山口から1時間半で到着した。東側ガスパッと切れ落ちていて少し恐怖感を感じる山頂である。
登山口に戻り、ワラビを少し摘んで雨の上がった林道を下った。


日本二百名山 以東岳 イトウダケ 標 高 1771m

山 域

朝日連峰
登 山 記 録
登山月日 2002年10月13日
登山経路 泡滝ダム6:30〜冷水沢の吊橋7:20〜大鳥池8:45/9:05〜(オツボ峰コース)〜三角峰9:50〜以東岳11:55/12:40〜(直登コース)〜大鳥池14:20〜泡滝ダム16:30
行動時間 登り5時間25分 下り3時間50分 合計10時間(休憩時間含む)
天  候 快晴
メンバー 単独

情  報

アクセス 泡滝ダム登山口までは舗装道路
トレイル 大鳥池までは易しいトレイルもオツボ峰コースは稜線までは急坂が続く、直登コースは樹林帯の悪路
水場・トイレ タキタロウ小屋にあるがその先はない、直登コースは沢水ある
その他  
山行記


タキタロウ小屋から見る以東岳と大朝日岳に続く縦走路

登山月日  
登山経路  
天  候   晴
メンバー   単独

深夜0時に新潟県村上市に入った。R7を鶴岡まで100キロ走るよりは、朝日スーパーラインに入ったほうが、相当走行距離が短縮するであろうと思い、躊躇なく三面ダムの道に入る。
この道は新潟県朝日村と山形県朝日村を結ぶスーパ林道である。
林道の途中で車を停めて3時間ほど仮眠を取り、夜が明ける前に山形県朝日村に抜ける。大鳥池・以東岳の案内看板は見落とすこともないほど大きいが、村の中心から25キロとあった。先行する車の後を安心して走ると、6時前には登山口の泡滝ダムに着くことが出来た。駐車場には溢れるばかりの車が停まっている。絶好の紅葉日和に沢山の登山者が人気の以東岳を目指しているのだろう。
急いで日帰りの支度を整え6時半に出発。日が短くなったこの時期、たっぷり11時間はかかるということで、気が急くのである。大鳥川沿いを歩いて最初の吊橋まで50分かかった。ここまでは1時間15分のところで「ガイドブックは少し余分に読んでいるな」と感じ、気が楽になる。登山道はブナ林の中に入って大鳥池目指す。昨夜タキタロウ小屋に泊まった登山者が続々と下りてくるのを見ると、「やはりここは山中1泊コースかなー」と心配になる。
ジグザグをきったトレイルを何回もショートカットしながら泡滝ダムから3時間の所要時間を2時間15分で大鳥池湖畔のタキタロウ小屋前に到着した。もう汗びっしょりであるが、日帰りのめどが立って一安心。
ここで朝食をとる。巨大怪魚タキタロウ伝説の大鳥池の向こうに頂上小屋もくっきりと目指す以東岳が望まれる。
山頂までは3時間あれば大丈夫と踏んで、9時過ぎに大鳥池湖畔のトレイルをオツボ峰コースに取る。ブナ林の急登を30分ほどあえいで潅木帯に飛び出すと、右手にオツボ峰その向こうに以東岳が大きく見える。
三角錐・オツボ峰と休憩ポイントも何箇所あるが休むことなく先を急ぐ、稜線からは月山や鳥海山が良く見えて、大朝日岳への縦走路が遠くに見えるようになると12時少し前目指す以東岳に到着した。
眼下の大鳥池が回りの紅葉に映えて神秘的だ。
昼食をといりながら、周りのものが山座同定している仲間に入りながら、この3年間に登った山々の思いがよみがえって感慨深い。二王寺岳から杁差岳も同定できる。
しばし展望を楽しんだ後、直登コースをまっすぐ大鳥池に下ったが、これは間違いで、往路のオツボ峰コースを戻ったほうが展望は良いし、歩きやすい。タキタロー小屋に戻って、西日に輝く以東岳を写真に収めて、泡滝ダムには朝から10時間後の16時30分戻ることが出来た。

 


化穴山 バケアナヤマ 標 高 1506m 越後百山

山 域

朝日連峰
登 山 記 録
登山月日 2011年5月6日〜7日
登山経路 第1日目
タキタロウ橋4:35〜皿渕沢出合7:00/7:25〜旧雨量観測所9:20〜標高1137m地点10:20/10:30〜茶畑山肩11:30/11:45〜戸立山直下幕営地14:20
第2日目
幕営地5;20〜戸立山5:30〜三角峰分岐6:40〜大鳥小屋7:50/8:20〜1446m峰10:45〜化穴山11:50/12:30〜1446m峰13:20〜大鳥小屋14:45
第3日目
大鳥小屋6:10〜三角峰8:35〜幕営地10:00/10:40〜茶畑山12:00〜1137m地点13:00〜皿渕沢出合14:00/14:10〜猫渕沢出合15:30〜タキタロウ橋16:10
行動時間 第1日目 9時間45分 第2日目 9時間15分  第3日目 10時間 
合計 29時間(休憩時間を含む)
天  候 第1日目 晴 第2日目 晴 第3日目 晴
メンバー 単独

情  報

アクセス タキタロウ橋までは舗装道路 その先の林道はまだ除雪されていなかった
トレイル 林道も含めて化穴山まで99.5%は雪上歩き 夏道は皿渕沢出合から雨量観測所までと大鳥池から三角峰まであるがこれも今は雪の下
水場・トイレ 水場は皿渕沢出合のマタギ小屋で取れた トイレはない
その他 化穴山に登るにはやはり以東岳経由が素晴らしいと思う

山行記

山形道「庄内あさひ」で高速道を下りて、満々たる笹倉ダムを見ながら、大鳥登山口に車を進める。タキタロウ橋までしか林道が除雪されていない事を確認して下見を終える。下山してきた登山者を車に誘うと、山人&モコモコさんのスーパー山屋夫妻であった。化穴山前に入るには幸先の良い出会いである。

入山前夜はタキタロウ橋の手前600mほどにある砂防堰堤脇で車中泊とする。

第1日目


川原の雪原とデブリの林道を歩いてマタギ小屋のある皿渕沢出合へ

夜明けと同時に行動開始し、山中2泊予備1日の行程の荷物をザックに入れて4時半にはタキタロウ橋を出発した。最初は大鳥川の川原の雪原を行き、猫渕沢出合辺りから林道を歩くようになるが、林道はデブリが続いていて足場が悪くヒヤヒヤものであった。雪の解けた橋を越えると林道は左岸側に移り大きな砂防堰堤を越える。今は土砂で埋まった左京渕ダムである。左京渕ダムの堰堤を越えると前方にこれから登る茶畑山に続く尾根が見てて来た。さらに残雪とデブリで土砂も堆積する林道を進んで皿渕沢出合に着いた。ここまで2時間半の時間が掛かった。
出合にはマタギ小屋があり、今日もクマ狩りのため5〜6人の鉄砲撃ちが準備をしていた。その中のリーダーと思しき朝日屋旅館の主人と談笑しながら軽く朝食をとる。


雨量観測所と登りついた稜線1137m地点

皿渕沢出合からは一気に雪の斜面を登る。尾根道に出るとイワウチワの群生する雨量観測所までの夏道に出るが傾斜が急で残雪の上を歩いたほうが楽であった。1時間ほどもがいて雨量観測所に付くと鉄砲撃ちが息も切らさず後に続いていた。ここでも一息入れる。さらに1時間ほどかけて旧雨量観測所跡に登りつく。さらに傾斜の増した尾根を喘ぎながら登ってゆくと男女5人パーテイが下ってきた。茶畑山付近で幕営して今朝下ってきたそうで、まだまだ元気いっぱいであった。尾根の最上段が標高1137m地点である。ココまで皿渕沢出合から標高差700m・3時間を要した事になる。雪堤の先前方には茶畑山が見えてきて雪原が広がっていた。


茶畑山の肩から見る化穴山・縦走路から見る戸立山

標高1137m地点から雪堤を進んで、小潅木の雪原に出る。絶好の山スキーのフィールドで2人のスキーヤーが下ってきた。雪原のトップが茶畑山への肩になっていて少々雪庇が発達していた。雪庇にかかる頃、「今朝大鳥小屋を出た」と言う3人組と出会う。「ココまで5時間掛かった」と言い、私のザックを見て「無理しないほうが良いよ」と心配して声かけてくれる。私も「行ける所まで言って行ってテントを張る」と言ったら納得顔であった。結局この山行中この3人組との出合が最後で、これから先は誰にも会うことのない独り占めの化穴山であった。
危なげなく雪庇を越えて茶畑山の肩に出ると眼前に化穴山の勇姿が見えてきた。これから先ぞくぞくする景色が続くのである。茶畑山の肩で昼食をとりながら休憩し、縦走路に入る。茶畑山の山頂は特定できずに通り過ぎると尾根の右側にトラバースしたトレースが残っていた。小さなアップダウンを覚悟していたのでアップダウンのない縦走路が長く続き有り難かった。縦走路の先に戸立山が見えるが山頂は東側がスパッとキレ落ちていた。
「そろそろ幕営地を探さなければ」と思いながら進むと何ヶ所か好適地がある。そのたびに思案し、「もう少し前に・・・」と進む。そして戸立山の直下50mに風除けにもなる場所で幕営する事にする。まだ14過ぎたばかりであるがもう10時間近い行程で疲労も蓄積してきていたので決断は早かった。
この時点で2日目は大鳥小屋に入り、化穴山をサブザックで往復して小屋に泊まり、3日目は大鳥小屋を出て幕営地に戻りテント撤収して下山の行程に計画変更をする。「まあこれが自分の力」と思うしかなかった。
日の高いうちからテント前で持参したビールと焼酎で酒盛りである。

 

第2日目

4時前には起きて朝食をとり、小屋泊まりの荷物をザックに入れ、テントはそのままにし、しっかりと固定して5時半前の出発となった。


戸立山の先から見る以東岳方面と化穴山方面

東側の雪渓が崩れ始めた戸立山には10分で登りつく。前方には以東岳方面が良く見えてきた。割れ目も随所に見られ、少々怪しくなった残雪上を進むと化穴山方面が対岸に見える。1時間少し歩くと当初幕営予定で有った三角峰につき大鳥池方面からの夏道が現れた。三角峰の雪原を見当をつけて大鳥池方面に下り始めると、やがて昨日歩いた3人組のトレースを拾うことが出来た。しばらくは緩いくだりとトラバースがあったがブナの樹林帯に掛かると一気の急坂となって大鳥池に下っていた。
大鳥池はまだ全面結氷中で湖面は雪原となっていた。恐る恐る湖面を渡り大鳥小屋に着いて一安心である。


大鳥小屋と全面結氷した大鳥池の先の以東岳

大鳥小屋に入り、サブザックに食料・飲料などを詰め、いよいよ化穴山へのアタックとなる。


取り付いた1446m峰へ続く尾根と大きく発達した雪庇の尾根の途中

大鳥池に下る途中対岸から化穴山の前衛1446m峰に直登するルートを確認してきたので、登頂ルートは迷う事がなかった。大鳥池から三角池方面に進み雪のつながっている斜面を選んで尾根に取り付く。なんだか足跡らしき跡も見えて、少し安心である。後は尾根を外さないように忠実に高度を上げてゆく。
最初のポイントが1103mの標高点である。登りつくと尾根の左側がスパッとキレ落ちて雪庇が見えるがあわてることはない。雪庇から10mほど離れて雪の急傾斜を山頂台地に登り上げるとさらに大きく発達した雪庇の1446m峰が眼前だ。そしてその右後方に化穴山が大きく羽ばたいていた。山頂台地の雪原を少し進み、1446m峰へ登り上げる。ここは以東岳から続く山頂稜線の一角で有った。そしてここには以東岳から化穴山に歩いた山人さんのトレースが残っていた。
化穴山に延びるトレースを忠実に追ったが、やせた尾根もあり、その間には鞍部もあって結構緊張させられるところもあった。1446m峰から1時間少々、大鳥小屋からは3時間半ほどかかって11時50分とうとう難関化穴山の山頂に立ったのである。山頂は草叢が露出していて三角点標石が傾いていた。


1446m峰から見る化穴山と傾いた三角点の草叢が露出した化穴山山頂


以東岳から朝日連峰主脈を見ながら感動の山頂

絶好の天気の下、素晴らしい展望が開けていた。着いた時間も丁度正午、ザックを明けて昼食をとりながら大休止である。予定では最悪14時までに化穴山かを辞して大鳥小屋目指して下ればと思っていたので、随分と余裕のある登頂となって嬉しい限りだ。これならば「昨日無理して三角峰まで来ていれば今日は以東岳を回れたのでは」と後悔がたつのであった。まあ、しかし後の祭りである。


以東岳と甚六山

飽くなき展望を楽しんだ後、化穴山を後にする。滑落に気をつけさえすれば登りのトレースを追えば良いだけなので気が楽だ。周囲の景色と眼下の大鳥池をしっかりと目に焼き付けながら下り、大鳥小屋には2時間15分ほどで下りついた。今日も10時間行程で有ったが日の高いうちに小屋に入り、ござが敷かれた快適な小屋で酒盛りをしていると、少々焼酎の量が多くて酩酊し、ろくに食事もとらずにシュラフに潜り込むと後は白河夜船の大鳥小屋の夜であった。

 

第3日目

山中でこれほど良く眠れたのは久しぶりであった。それだけ化穴山登頂が果たせて安心したのか寝心地が良かったのである。雨戸を開け放して寝たので薄明るくなった4時過ぎには目が覚めた。しかし今日も長い下山道が待っていて気を緩めるわけには行かない。良く眠れた割には食欲がなく、昨夜作ったアルファ米をお湯と一緒に胃のムカツキを押さえながら流し込む。食事に時間も掛かるが腹ごしらえせずに出掛けてシャリバテを起こした経験が何度もあるのでだ。
何とか腹ごしらえ済ませて、小屋を掃除し、施設利用料を納めて出発は6時を回ってしまった。そして緩んだ大鳥池の湖岸を慎重に湖面の雪原に移り昨日よりもさらに恐々と対岸に渡り、ブナ林の急坂に取り付く。


登り返しの樹林帯と樹林帯を抜けると以東岳の勇姿が

大鳥池から三角峰の分岐までは標高差500mある。丁度その半分がブナ林の急登でその上は大きな雪原となっている。覚悟はして登り始めるがやはりブナ林の登りはきつく、息をつなぎながらゆっくりゆっくり登る。そして森林限界を抜けると右上方に以東岳が大きく羽ばたいていて飽きない景色が広がっている。慌てる事もないかと思いながらも、時間はどんどんと過ぎてゆく。結局三角峰への500mの登り返しに2時間半近くかかってしまう。しかし縦走路に出れば気分は上々、戸立山への長い縦走路を眺めながら大きく休憩する。


三角峰から見る戸立山方面への縦走路と茶畑山で見る最後の化穴山

昨日は気温が上がって雪も緩み、足をとられながら戸立山に引き返す。3日目となると疲労の蓄積で縦走路に入ってもペースが上がらない。こんな時は単独行の良さで、適宜休憩を挟みながらゆっくりと歩く。昨年飯豊を歩いた時は少々辛い思いをしたことも思い出させるのである。
大鳥池から4時間近くかかって幕営地に戻る。急いでテントを撤収、パッキングを済ませると10:40の出発となった。ここからの縦走路は殆んど下り勾配である。一昨日皿渕沢出合から山中ずーと付けていたアイゼンを外す。軽くなった足は随分と快調である。茶畑山には丁度12時に着いた。折角だから三角点をと探したがそれと思しき場所には赤布が下がっていたが雪の下で見つけることは出来なかった。
茶畑山から雪庇を慎重に下り雪原を飛ぶように下る。急坂の頭の1137m地点までは1時間で到着、ココでエネルギー補給して、初日に3時間要して登った急坂をグングン下る。皿渕沢出合には丁度14時の到着となった。茶畑山から2時間で下りたことに成りまずまずと胸をなでおろす。今日のマタギ小屋は無人であった。小屋前で汗を拭き、ホースで引かれた沢水で喉を潤し暫し休憩する。これからもさらに2時間の行程があるかと思えば気が重い。
それでも意を決してデブリの続く林道と川原の雪原を黙々と歩き続けてタキタロウ橋には大鳥小屋から10時間かけて16:10帰還したのである。
誰も居ないタキタロウ橋の上で着衣を着替えさっぱりとして車に乗り込む。「庄内あさひ」から山形道に乗り、鶴岡からR7を新潟県村上まで走る。「道の駅あさひ」で車を止めて車中でビールと酒を飲んでバタンキュー。
翌日早朝、日本海東北道に入線し、自宅まで走った。

 

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