北アルプス 表銀座の山

赤岩岳 アカイワ 標 高 2760m 標高順71位

山 域

北アルプス

大天井岳 オテンジョウ 標 高 2922m 標高順30位

山 域

北アルプス

東天井岳 ヒガシテンジョウ 標 高 2814m 標高順58位

山 域

北アルプス

登 山 記 録
登山月日 2012年7月27日〜28日
登山経路

7月27日
登山口1キロ手前路肩駐車場6:15〜中房登山口6:30/6:40〜合戦小屋9:50/10:15〜燕山11:25/11;45〜大天荘テント場15:05/16:00〜東天井岳16:10〜大天井岳16:55〜テント場17:20
7月28日
大天荘テント場5:15〜大天井ヒュッテ5:50/6:00〜ビックリ平〜赤岩岳7:30/7:50〜大天井ヒュッテ9:25/9:35〜切通岩10:30〜燕山荘13:00/13:15〜中房登山口16:00〜駐車場16:15

行動時間 第一日目11時間 第二日目11時間 合計22時間 (休憩時間を含む)
天  候 第一日目晴 第二日目晴
メンバー 単独

情  報

アクセス 中房温泉までは山岳観光道路
トレイル 北アルプス人気一番の表銀座登山道
水場・トイレ 登山口&各山小屋で
その他 目標は赤岩岳三角点

山行記

第一日目


燕岳を後にコマクサ咲く表銀座を行く

赤岩岳三角点を踏み忘れていることを指摘されたので早速出かける事にした。大天井岳で幕営1泊のテントはやはりそれなりに重く、合戦尾根を上がるのには随分と時間が掛かってしまった。しかし燕山荘まで登りつけば涼風吹き、裏銀座の景色が癒してくれる。
燕山荘で昼食休憩を取り、表銀座の縦走路に入ると砂礫地には今が盛りとコマクサが群舞していた。2回目の表銀座であるがとても歩き易く右奥に槍ヶ岳などを望みながらの快適トレイルである。ザックが重くピッチは上がらないが回りを歩く登山者もみな似たようなもので、適度に休憩を挟みながら大天荘を目指す。一度だけ砂礫地の大下りのアップダウンがあるが、あとは本当に緩やかな勾配が続いて切通岩まで続いていた。このルートを開いた小林喜作のレリーフが埋め込まれた切通岩には鎖がありなんなく越える事ができる。切通岩からは小礫の道になり大天井岳を登る道となり一気に様相が変わる。10分ほど登ると大天井岳へ直登する道と大天井ヒュッテに向かう道が別れている。小礫の直登の道をゆっくりゆっくり登って大天荘の立つテント場に到着した。重いザックを担いでいたが、大学生のワンゲルや遠来のテント山行のパーテイとは殆んど同じ時刻の到着であった。テントを設営後、東天井岳そして大天井岳の山頂に立った。少し風もあり夜明け頃ぱらっと雨が降ったが快適な大天荘の夜であった。


(左)縦走路から見る大天井岳・(中)大天井岳山頂・(右)東天井岳山頂

 

第二日目


大天荘前から朝日さす(左)赤岩岳(右)槍ヶ岳

3時半に起床し朝食をとりテント撤収・パッキングを済ませると5時過ぎには大天荘を出発する事が出来た。槍ヶ岳やこれから向かう喜作新道の赤岩岳にも朝日が当たる時間であった。大天井岳から大天井ヒュッテに下る道は荒れていてとても歩き難かったがそれほど長い時間ではなかった。
大天井ヒュッテのベンチにザックをデポし、「赤岩岳に登ってくる」事を小屋番に告げると「赤岩岳は一旦西岳側に回りこんで南峰から登るように」という指示があった。サブザックに水・食料などを入れて喜作新道に入る。ここも緩い勾配の歩きやすい登山道である。槍ヶ岳北鎌尾根へのアプローチである貧乏沢への下降点を過ぎるとビックリ平で眼前に北鎌尾根や硫黄尾根が飛び出す正にビックリである。そして絶好の休憩ポイントになっていた。更に一登りすると槍ヶ岳が眼前に見えてきたが既に朝の上昇気流が上がってきて山頂を隠してしまっていた。砂礫の道を緩く登ってゆくと「赤岩岳頂上→50m」の道標が立つ小ピークに到着した。前回ここが赤岩岳山頂と勘違いした場所と思われる。しかし道標のさす方向を見てもソレらしき山頂は見えない。まあネットで調べてきた裏道があることが分かっているから慌てる事は無かった。

 


喜作新道を行くと右側が切れ落ちた赤岩岳北峰が見えてきた


赤岩岳山頂の三角点と山頂から見る赤岩岳南峰方面

赤岩岳山頂は縦走路が走る東側はハイマツと草付の斜面であるが、槍ヶ岳に面する反対側は崩壊の進む岩稜である。山頂三角点は傾きながらも修復されていた。眼前には東鎌尾根から続く槍ヶ岳の勇姿が見えて大感激である。惜しむらくはもう少し晴れて南岳〜穂高連峰の展望が無い事であった。これで6年前踏み忘れて赤岩岳の三角点に立って正真正銘の百高山達成である。軽食を取りながら20分ほど滞頂の後、ハイマツと草付を縦走路に下り、砂礫地でも腰をおろし、槍ヶ岳に別れを告げて往路を大天井ヒュッテに戻った。大天井ヒュッテには9時半には戻ったので往復3時間半の赤岩岳であった。

再び思いザックを背負い大天井岳の巻き道に入り、荒れた岩稜帯を越えてゆく。途中で振り返れば槍ヶ岳に掛かっていた雲もスッカリ晴れて真夏の槍ヶ岳がすくッと聳えているのであった。
巻き道を小一時間かけて切通岩に出て、昨日来た表銀座を燕山荘に戻る。


意気揚々と表銀座を切通岩越えて燕山荘に戻る。

燕山荘は土曜日とあって大勢の登山者がつめかけ、大賑わいであった。小屋前で昼食休憩を取って午後になっても続々と登って来る登山者をかき分けながら合戦尾根を走るように中房温泉に下った。

 


北アルプス 表銀座の山

大天井岳 ダイテンジョウダケ 標 高 2922m 標高順30位

山 域

北ア表銀座
赤岩岳 アカイワダケ 標 高 2769m 標高順72位

山 域

北ア表銀座
西岳 ニシダケ 標 高 2758m 標高順78位

山 域

北ア表銀座
赤沢山 アカサワヤマ 標 高 2670m 標高順98位

山 域

北ア表銀座
登 山 記 録
登山月日 2006年10月12日〜14日
登山経路 10月12日
中房温泉6:25〜合戦小屋9:00/9:05〜燕山荘10:05/10:20〜大天井ヒュッテ13:30/14:15〜大天井岳15:05/15:05〜ヒュッテ15:45〜牛首山16:05/16:20〜大天井ヒュッテ16:30
10月13日
大天井ヒュッテ6:20〜赤岩岳7:45〜西岳ヒュッテ8:25〜西岳8:35〜西岳ヒュッテ8:40〜赤沢山9:40/9:55〜西岳ヒュッテ10:30/10:50〜東鎌尾根〜大槍ヒュッテ13:40〜槍ヶ岳山荘14:35/14:45〜槍ヶ岳15:05/15:20〜槍ヶ岳山荘15:40
10月14日
槍ヶ岳山荘6:05〜中岳7:10〜天狗原分岐7:55〜天狗池8:50/9:10〜槍沢9:55〜大曲10:25〜槍沢ロッジ11:05/11:25〜横尾12:35/12:50〜徳沢13:50〜明神14:40/14:50〜上高地15:40/16:00〜バス〜新島々17:30〜電車〜松本18:00
行動時間 第1日10時間05分 第2日9時間20分 第3日9時間35分 合計29時間(休憩時間を含む)
天  候 第1日晴 第2日晴 第3日晴
メンバー 単独

情  報

アクセス 中房温泉まで問題なし
トレイル 北アルプスでも一番ポピュラーな登山道
水場・トイレ 登山口から先は各登山道で
その他 人気のコース


燕山荘近くからの展望


大天井岳山頂・燕岳方面・大天井岳


牛首山のライチョウ・大天井ヒュッテのシンジロー君・カモシカ永井喜作新道へ

 
赤岩岳付近の展望


西岳からの槍・穂高連峰 と赤沢山


赤沢山で日本百高山完登を果たす


赤沢山からの展望(右は西岳・赤岩岳・大天井岳)


東鎌尾根から見る赤岩岳・西岳・赤沢山


大槍ヒュッテから見る槍ヶ岳と穂先で万歳


2006年10月15日午後3時の槍ヶ岳山頂


天狗池の紅葉

山行記

第1日
4日前、合戦尾根を登って槍ヶ岳を目指したが発達した低気圧により天候が急激に悪化し稜線付近は吹雪混じりの初冠雪に見舞われた。そのため合戦小屋で撤退を余儀なくされたのである。しかしこの天気で白馬岳や穂高岳など北アルプスで合計8人もの死者を出す最悪の状況であったことを考えると撤退は賢明な判断であったことを知る。
登山道の雪も消えたこと、小屋閉めも今週末と言うことを確認すると、今日が北アルプス表銀座を槍ヶ岳まで縦走出来る最後の日かなと思う。先日の疲れも少し残るのであるが、意を決して再び中房温泉から合戦尾根を登ることになったのである。
合戦尾根を登って燕山荘には10時過ぎに着いた。日陰には少し雪が残るが心配することはない。遠くに見える槍ヶ岳と高瀬川を挟んだ対岸の裏銀座を眺めながらの表銀座の縦走路は飽くことを知らない、岳人の人気一番のトレイルである。合戦尾根を気合を入れて登ったせいか、縦走路に入るとペースも鈍るが今日の宿大天井ヒュッテまでは楽勝気分で13時過ぎには到着した。
小屋前でビールを飲み休憩する。休むには早すぎるので大天井岳をピストンする。8年前に百名山を始めたころ常念岳からきて、始めて泊まった大天荘が懐かしかった。大天井山頂を踏んだ後再びヒュッテに戻り、今度はヒュッテの前に立つ牛首山展望台に向かう。山頂直下では冬毛に模様替え中のライチョウが迎えてくれた。
槍ヶ岳や裏銀座そして常念山系の絶好の展望台である。しばし山々に見とれる。明日向かう喜作新道の山々は目の前だ。小屋に戻り小屋閉めも間近の小屋番と談笑しながら時間をつぶす。持参した食料で自炊し今日は貸切り状態の大天井ヒュッテで久しぶりの山小屋泊を楽しむことが出来た。

第2日目
懇意になった小屋番のシンジロー君に見送られて喜作新道に入る。シンジロー君はこの夏ここでアルバイトをして3日後には4ヶ月ぶりに神奈川の自宅に帰るという。どんな仕事であれ、一生懸命に働いてる若者は頼もしい。又頑張って来年もどこか出会えればよいものと思う。
北鎌尾根へのアクセス・貧乏沢に下る分岐を過ぎ、一登りで槍ヶ岳が目の前に姿を見せるビックリ平だ。雲ひとつない槍ヶ岳の雄姿に見とれる。ぐんぐん近づく槍ヶ岳を眺めながら稜線を進むと巨岩の積み重なる赤岩岳山頂に立つ。槍ヶ岳の反対側には常念岳が聳えている。更に西岳の山腹をまいて赤岩岳から30分で西岳ヒュッテに到着だ。西岳ヒュッテは前日小屋締めをして、小屋番は今朝山を下りたらしく誰もいなかった。カメラだけ持ってヒュッテ後ろの西岳山頂に向かう。ここも東鎌尾根をはさんで槍ヶ岳を真正面に見る絶好の展望台である。
15分で西岳を往復した後、テント場の先赤沢山に向かう。
ハイマツ帯に踏み跡を探していると、西岳ヒュッテから単独行者が現れる。私と同じ目標を持った登山者であった。二人で赤沢山を目指すことにする。裸地の先の大きな岩の右側に赤テープがあり、ハイマツの中に足を踏み入れる。ハイマツが被さってはいるが踏み跡はしっかりしている。赤沢山に伸びるコルで赤布を見失い危険な沢を下り始め落石の恐怖を味わう。しかしここも二人で来た甲斐があり、連れの方が赤布を見つけ軌道修正できた。思い込みで道を進まないこと、不明になったらよく周囲を眺めることが一番である。後は巨岩の下を巻くところもあるがしっかりと踏み跡をたどって山頂稜線に登りつく。
平らな山頂稜線を100mほど進み、日本の山標高順97位・三等三角点の赤沢山山頂に立つことが出来た。
これで日本の山標高順百座完登の感激が湧いてくる。同行の志の前で万歳を三唱する。
「日本山岳標高ベスト百完全登頂 万歳!万歳!万歳!」
三段紅葉が見事な槍沢・南岳に延びる稜線に向かってその声はこだまするのであって、一人涙をぬぐうのであった。登山道や山小屋の整備されている「日本百名山」を登りきることは金と暇さえあればそれほど難しいことではない。しかし「日本百高山」は踏み跡薄い登山道や藪漕ぎを強いられ、テントを担がなければ登れない山もある。そしてそれにもましてこれを達成するには北・中・南の日本アルプスの峰を殆ど全部登らなければならないのであって、諸説・その価値観色々言われるところはあるが、私としてはこれが一番価値のあるものと思って登り続けた山々である。学生や若者の中にはロング縦走で一気にその数を稼ぐことも出来るが55歳から始め、殆ど幕営山行でその数を増やしてきた私にしてみれば、思い入れ一番の目標でもあって大きな勲章を手に入れたものと自負している。
山頂で15分ほど展望と余韻を楽しむ。同行者に先を譲り西岳ヒュッテへの帰路に着く。往路に間違えたコルではしっかり踏み跡を確認し今度は危険を覚えることもなく安全に西岳ヒュッテに戻ることが出来た。
同行者に礼を言う。いつもならば名前くらいは聞くのであるが今日の同行者は何だかすごい実績を誇る登山者に見えて気後れし、余り話も弾まないのであった。きっと名前を聞いたらすごい方であったのではと今は思うのである。西岳に登って大天井岳に戻る同行者と別れ私は東鎌尾根への道に入る。
1998年ムスコと初めて本格的な登山を経験したのがこの道である。色々な思いをめぐらせながら一歩一歩槍ヶ岳に近づく。西岳ヒュッテからは4時間近くかかったがまだ山頂にガスがかかる前に槍ヶ岳山荘に到着した。休むまもなく穂先に向かう15時過ぎに4度目の穂先に立った。山頂には単独行者2名が展望を楽しんでいた。ここでも大きな声を上げて万歳三唱した。
山荘に戻り、ビールで乾杯の後、持参した日本酒4合ほど飲むと疲れもあって床に入るとすぐに眠りにつくことが出来た。

第3日目
山頂稜線にはまだ雪が残り少し怪しい足場ではあったが大喰岳・中岳への高度3000mの雲上のプロムナードを天狗原分岐まで歩く。分岐から天狗原・氷河公園に下り天狗池に映る三段紅葉の逆さ槍ヶ岳を眺める。槍沢に入って槍沢ロッジ・徳沢園・明神と休憩を取りながら15時半過ぎに上高地に下りつくことが出来た。秋の好天ののなか多くの観光客が紅葉を楽しんでいた。
新島々・松本と乗り継ぎ自宅には20時前には帰ることが出来た。

翌日電車で松本・穂高に出て、乗り合いバスで中房温泉に入り、車を回収した。

 

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