山行記

今朝の冷え込みはこの秋一番のようで車中ほろしり氏と二人少々寒さを覚えるのであった。夜明けと共に置き出して湯を沸かし、珈琲を飲んで軽い朝食をとり、丁度６時の出発となった。
秘湯・愛山渓温泉の宿の前は大きな駐車場になっていて、紅葉真っ盛りの今日は沢山の観光客や登山者が訪れるのであろうか、早朝から管理人が駐車場の誘導を行っていた。

愛山渓ヒュッテからイズミノ沢沿いを行く。三十三曲坂への道を分け、昇天の滝をを過ぎ、二つ目の沼ノ平への分岐である滝ノ上分岐には１時間２０分で到着した。丁度良い休憩ポイントである
。ここからは巨石累々のゴーロ状の沢を永山岳に向かう。標高１５００ｍを過ぎある辺りからはハイマツ帯となり、周囲の展望が開けてきた。右後方には沼ノ平が、そして上方を見上げれば、先行する団体さんも良く見える。少し傾斜が緩むと銀明水の水場であるが、この時期は涸れていて水は得られなかった。巨石の道が終わるとザレたジグザグの道に変わり、大雪山の稜線の端にある永山岳に登りついた。先行したパーテイが休んでいる中、永山岳を写真に収め、しばし休憩する。永山岳〜安足間岳の先には愛別岳が聳えて見える。

永山岳から安足間岳までは僅かな時間で登りつくと大雪山の主峰旭岳も見えてきた。更に稜線を進み比布岳に立つ。北鎮岳が目の前だ。
稜線を僅かに戻って愛別岳への道に入る。ザレタ砂礫の道で慎重に下る。下り始めると後続の単独女性が後に続く。ザレタ道を下りきると岩稜・ヤセ尾根が続くがそれほどの恐怖感はない。最後は岩稜を登って愛別岳山頂に立つことが出来た。北大雪のニセイカウシュッペ方面も目の前であるがその他の山座同定は出来なかった。愛別岳を下り、岩陰で昼食休憩を取る。そして女性単独行の方と山談義を楽しんだ。女性はこの後最後までお付き合い頂けた。

稜線の分岐まで慎重に戻り、安足間岳に廻る。そして草紅葉の稜線漫歩を楽しみながら当麻岳方面に向かう。左側には裾合平、右側には沼ノ平湿原を見ながらまさに空中庭園を行くが如しである。
当麻岳で飽くなき展望を楽しんだ後、巨石の中を当麻乗越に下る。ここは裾合平と沼ノ平を分ける峠であって、愛山渓温泉と旭岳ロープウエイの姿見駅の中間点でもある。そして裾合平・沼ノ平湿原が眼前に広がり素晴らしい展望が開けているのであった。

しかし登山道はこれからが大変であった。沼ノ平への道に入ると背丈以上もある笹薮の手入れも不十分で足元は泥濘の登山道となっていた。疲労を覚える中、笹に掴まりながら泥濘を選びながら何とか沼ノ平湿原まで下る。木道が整備された湿原の六の沼で最後の一息を入れる。紅葉の真っ盛りであるが、ナナカマドの赤色が茶色に変わっていて少々物足りないところがあるが点在する池塘に映る紅葉は心が洗われるというものである。
花の百名山ではあるが、花の時期は過ぎたとはいえ、これを見ては花の名山の価値は十分であって、満足の沼ノ平湿原であった。
木道が過ぎると再び泥濘の登山道となり、足をとられるが必死に歩いて三十三曲がりを下り、朝歩いたイズミノ沢添いの登山道に出る。
愛山渓温泉の登山口には朝出てから１１時間近い１６:５０に下山した。
泥だらけになった登山靴とズボンを洗い、同行のＯさんと再会を約して分かれたあと、秘湯愛山渓温泉の湯船に浸かり、汗と泥と疲れを落とした。

暗くなった山中の道路を愛別町に下った。