親子で完走はたす
10年ほど前からムスコと近郊の健康マラソンを楽しんでいたが、北安曇郡池田町で開催される、「あづみ野池田ハーフマラソン大会」は、二人にとってハーフマラソンデビューの大会であった。3年ほど連続出場しただろうか。その後大町マラソンに挑戦したり、長野マラソンに格上げしたり、そんなことをしている内に2年前の長野マラソンを4時間4分という完走記録を最後にムスコはマラソン熱が冷めてランニングを止めてしまった。
そんなムスコが体重増加を気にして久しぶりにランニングを開始し、又「長野マラソンを目指す」と言い出した。思い出のこの大会が今の脚力の試し時と言うことで、7年ぶりに池田町にやってきたのである。私も半年ぶりにジョギングを再開しているのでハーフのレースを走るにはよい機会なのである。
この時期、長野県内あちこちで健康マラソン大会が開かれていて、各大会とも出場者集めが大変なようである。案の定、会場の高瀬中学校に着くとガラーンとしている。ここは名ランナー中山竹通選手の生まれ育った町で、彼を記念して始められた大会でも有るようだがこの寂しさは如何ともし難い。出走手続きを済ませ、もらったプログラムを開いてみるとメーンレースのハーフマラソン出場者は100人程度の寂しさである。先週は諏訪湖ハーフマラソン、そして今日は三郷アップルマラソンと日程がかち合っていては無理ならざると言うことか。
然し、招待選手には、今年の春、東京国際マラソンで日本人一位となりアテネオリンピックの代表候補に名を連ねた、大崎哲史招待されている。名ランナー中山竹通を記念しての大会のプライドがあるというものだろうか。
校庭の隅でレースの支度をする。
<スタートから5キロ>
ハーフマラソンは開催種目のトップを切って9時にスタートした。ぬかるんだ高瀬中学の校庭をでて道路に出る。300mも行かない内に最初のカーブを右に切ると、もう私の定位置最後方に落ち着いていた。最後尾を3人で進む。この人達との併走になるのだろうかと思うまもなく2人は私を置いてきぼりにして先を追うのであった。2キロ地点を踏む頃には完全なビリとなり、後ろを振り返ると収容車が小さなエンジン音を響かせながら続いている。然しすこしも焦りの気持ちはない。今日は最初から最後まで最後尾を走って完走する覚悟であったし、それが出来る楽しみも涌いてきたのである。
収穫の終わった稲田の脇を走る。民家の垣根には黄色く色づいた柿の実がこぼれるようだ。4キロ地点で前を行く女性がペースを落として走っている。抜きたくはないが高瀬川の堤防道路に出る手前でとうとう女性を抜く。きっとこのランナーは完走できないだろうと思うから私の気持ちとしては最後尾を走っている気持ちは代わらない。
堤防道路に出て北に進む。見た目には気付かないが走っていると結構登っていることに気付く。いつもなら高瀬川の対岸に北アルプスが見えて素晴らしいロケーションであるのだが今日は厚い雲の中で北アルプスや有明山は見えない。前走者とは100mくらい離されて進むがペースは1キロ6分半を維持している。何も問題ない完走ペースで5キロを通過。(通過タイム31分21秒)
<折り返し地点まで>
7キロ地点で又女性が一人落ちてきた。これも完走はおぼつかない走りであっさりかわして先を行く。ここで折り返してきたトップのランナーと行き違う。私は三分の一、トップランナーは三分の二を走っていることになる。丁度ペースが2倍と言うことが分かり納得する。
次々と折り返してくるランナーを見ながら折り返し地点に進む。
ムスコとは10キロを過ぎる辺りで交錯する。1キロほど先を走っていることになる。もっと早いかなと思ったのであるが自分のペースで走っているようだ。ムスコが初めてここを走った8年前は1時間40分で走りきったが、今はそんな脚力はないのだ。どんな形で有れ、時間内完走を果たし、来年春の長野マラソンへのスタートを飾って欲しいと願うのである。(10キロ通過タイム1時間04分25秒)
<折り返しから17キロ地点>
折り返してからすぐに若い男性が一人落ちてきた。これも交わしていよいよ快調になって高瀬川の堤防を走り下る。給水所では片づけをしていて後方を走る私がきても気付かない場所もある。前も後ろも大きく離れ一人旅が続くと鼻歌が出てくる。(15キロ通過タイム1時間37分19秒)
2時間の制限タイムの17キロ関門は7分を余して通過。「まだ時間はたっぷりですね」と余裕の通過。後ろを走るランナーを気にしながら振り返ると最後に拾った男性ランナーは通過したようだ。
<17キロからゴール>
ゴール目指してたんぼの中の道を走ると歩いているランナーを3人ほど拾う。これでは最後尾を走る楽しみは薄れる。然し私はランニングを続ける。{あと1キロ}の看板が立つ地点で60歳代のランナーがウォーク&ランで走っている。この方を抜けば60歳代の部のブービーかと思えば力も入る。
最後はグラウンドまで併走して「お先にごめん」と、見事60歳代の部ブービーにてゴールイン。
タイムは2時間19分20秒であった。
荷物預け場所に戻ると2時間2分で完走した息子がにっこりと待っていてくれた。
自慢の出来る成績ではなかったが、久しぶりに親子で走りきった満足感でとてもハッピーな気持ちになるのであった。豚汁をすすりながら着替えを済ませる。
帰りは大町から美麻村新行に廻り、新蕎麦を食べて家路についたのである。
来春の長野マラソン目指してトレーニングに励むことを誓いながら・・・・・。
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